予定の変更が受け入れられない

 

予定の変更が苦手で受け入れられない

発達に遅れのある子どもは当初の予定が変更となると、変更をなかなか受け入れることが出来ない場合があります。変更を受け入れることが出来ないばかりか、強いストレスを感じて場合によってはパニックなどに繋がることがあります。

学校などで授業の変更が発生すると対処が出来なかったり、家庭でも出かける予定がなくなると泣いてパニックになったり、予定表を変更しても納得できず変更前に予定表に戻してしまうと言うことがあります。学校などでは運動会や発表会前など特別な授業編成になった場合に、普段と違う授業であるため対処が出来なくなる子どもが多く見られます。

では、予定の変更を受け入れることが出来ない子どもにはどの様な理由があるのか調べてまとめてみました。

関連ページ
自閉症は状況の変化や変更が苦手で嫌う 発達障害-自閉症.net

予定の変更を受け入れられない理由

自閉症などの発達に遅れのある子どもが予定の変更を受け入れることが難しい理由にはその障害の特徴などから次の理由が考えられます。

障害の特徴として

まず自閉症の場合にはその障害の特徴として、「活動や興味の幅が極端に狭い」と言うものがあります。これは、特定の物にとても強い興味を示したり、同じ事をずっと繰り返すという行動にも見られ、場合によっては「強いこだわり」と取られる場合もあります。

「活動や興味の幅が極端に狭い」という特徴が強いと、特定の行動に対して固執したり、自分の考えるとおりに行おうとする事があり、これが予定への執着に繋がることがあります。

予定の変更に不安を感じる

子どもが予定の変更を受け入れることが出来ないのは、予定が変わるなど予想外のことが発生した際に、強い不安を感じるということが大きいです。

不安を感じる理由には、思っていないことが発生した事に対して吃驚してしまう、変更に対しどのように対処して良いのかが分からない、変更したことに対して何を行えばよいか分からない等、その子どもにより様々です。

感じた不安を他人に伝えたり、自分から助けを求めることも難しいので、不安が大きくなってしまうということもあります。

変更後の対処方法が分からない


発達に遅れのある子どもの場合は、予定に対して見通しを付け、行う事を頭の中でシュミレーションしたり、今まで体験した経験などから行うべき行動を何度も考えたりしています。

しかし、それが急に予定変更となってシュミレーションしていた行動も急に崩れてしまった場合に、何を行ってよいのかわからなくなってしまいます。

特に予定にこだわる子どものの場合は、行動を予測する事や、臨機応変に行動を取ることが苦手な場合が多く、一度考えた予定が崩れると立て直すことが難しくなります。

対処方法

予定の変更が苦手で受け入れることが難しい場合には、見通しを付けて不安を取り除くなど、いくつかの方法が有ります。

変更がわかった時点で教える

予定などに変更があった場合は、なるべく早く教えてあげることが重要です。
直前で変更する事を伝えられても、変更になる事を理解する、気持ちを切り替える、変更に対して対処をするために時間がかかることがあります。

予定が変更になった際には変更になった事を伝え、『変更した理由』『何がどう変わったのか』『変更によって何を行えばよいのか』など、新たに見通しが持てるように、本人にわかりやすく伝えてあげましょう。

予定が変わることもあることを教える

日常生活を送っていると予定通りに事が進まず、予定を変更しなくてはいけないことも多くあり、このような場合に対処が出来ないと、本人もストレスを感じてしまうでしょう。そのため、予定通りに行かず変更になると言う事も理解してもらう必要があります。

あらかじめ予定が変更する可能性がある場合には、事前にどの様な場合に予定が変更する可能性があり、予定が変更したらこのような行動を取るということを伝えておくと良いでしょう。

予定が変わることについても、過去に本人が納得できた予定の変更の例をあげて具体的に説明すると良いでしょう。

例としては「学校に行く予定だったのに体調不良で欠席した」「おやつにポテトを食べる予定だったが誰かが食べて無くなっていたのでクッキーにした」などです。過去に本人が納得できた予定の変更を用いて、変更した理由を説明すると比較的スムーズに受け入れることが出来ます。

変更した際の対処方法を教える

予定の変更で大きな不安を感じる理由の一つに、変更が発生した場合に何を行えばよいのかわからないと言うことがあります。予定が変更された場合にはその事を伝えるだけでなく、変更された予定に対してどのような行動を取れば良いのかを教えてあげましょう。

伝え方には具体的に細かい内容を教えたり、過去に経験したことがある(行ったことある場所や、行ったことがある活動)などを伝えて初めての事ではないことを伝えてあげましょう。

場合によっては親と一緒に行動を実践してあげるとより安心に繋がるでしょう。

変更後の行動を選択させる

予定が変更となった場合にその後の予定をある程度決めることが出来る場合は、いくつかの選択肢を作り本人に行動を決めてもらうという方法もあります。

例えば遊園地に遊びに行く予定が大雨でいけなくなってしまった場合、「家でDVDを見る」「おもちゃで遊ぶ」「映画館に行く」「ショッピングモールに行く」など代替手段として可能な項目を作り本人に選択してもらいます。

本人が選択する事で気持ちの切り替えが出来るほか、過去に経験のある事であれば、新たに今後の見通しを立て直すことが出来ます。

急激な変化を与えず徐々に変えていく

変更が発生する場合にも急な変化を与えるのではなく、徐々に変化を与えていく方法もあります。

いきなり予定がガラッと変わってしまうと本人の許容範囲を超えてしまい、多くの不安とストレスで混乱してしまうでしょう。ですが、本人の許容範囲内の細かい変更を徐々に与えることで、そのつど気持ちの切り替えを行い、それほどストレスを感じることなくスムーズに変更にも対応できる場合もあります。

予定の変更に慣れさせる

予定の変更は無いほうが子ども本人も安心して行動できますが、生活をする中で予定の変更は必ず発生するものです。そのため、本人が許容できる範囲で予定の変更に慣れさせ、許容範囲を広げたり、変更した際に対処方法を学ばせることも重要です。

例えば管理人である私の話になりますが、電車通勤をしており電車に乗っていると予期せぬ事故や遅延で電車の運行が止まってしまうことがあります。電車に乗り始めた当初は止まってしまった際にビックリして何をすれば良いか分かりませんでしたが、何度か経験するうえで「振り替え輸送の鉄道に乗る」「バスやタクシーを利用する」「目的地が近ければ歩く」「車内や駅で運行再開まで待つ」「職場に電話し指示を仰ぐ」などいくつものパターンを学んで行動できるようになりました。

このように経験をする事で学べることも多くあります。発達に遅れのある子どもの場合も、ストレスがかからない程度で、予定の変更を経験し、その都度適切な行動パターンや対処方法を学ぶ機会を作ると良いでしょう。

不安な気持ちを汲み取る

予定の変更で子どもが一番感じることは不安とストレスで、その不安が解消されないと予定に対しても受け入れられずに執着してしまいます。

予定の変更で不安を感じている場合には、周囲の人が寄り添いその気持ちを汲み取ってあげることが重要です。特に発達に遅れのある子どもの場合、他人に自分の気持ちを伝えることはとても苦手です。自分の気持ちを周りに知ってもらえないために、自分の中に溜め込んで爆発してしまいパニックになってしまう事もあります。

予定の変更で子どもが不安を感じていたら、その気持ちを汲み取り、予定の変更やこれから行う事などの説明をして不安を取り除いてあげることが重要になります。

まとめ

自閉症などの発達に遅れのある子どもの場合、予定の変更は不安に繋がるため苦手である事が多いです。

予定の変更が発生した場合には、変更された事と今後行うべき事を明確に伝えて、見通しをつけてもらい、不安を取り除いてあげましょう。

また予定が変更されたことに対して不安やパニックを見せない子どもでも、強いストレスを感じている事もあるので気をつける必要があります。

予定の変更は生活を行う上で必ず経験する事です。まずは本人の気持ちに寄り添い、本人の中で気持ちの折り合いをつける方法や、変更時の対処法を学べるように適切な支援をしていくことが重要になります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket