発達に遅れのある子どもが宿題が出来ない理由と対処方法

   2018/12/02

発達に遅れのある子どもが宿題が出来ない理由と対処方法

学校で出される宿題を自宅で行う事が難しい子供は多いと思います。私も子供の頃は家で宿題をするのが嫌で、なかなか取り組めなかったり、時には行う事が出来ずに翌日学校で怒られるということも何度かありました。この記事を読んでいる皆さんの中にも、宿題が苦手だった人も多いかと思います。

このように健常な子供でも宿題を行うのが難しいのに、発達に遅れのある子供の場合は、その特徴などからさらに宿題を行うに当たって困難を感じる事が多くなります。

では、家で宿題を行うのが難しい発達障害の子供の場合、どのような理由が原因で取り組むのが難しいのでしょうか。

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宿題が出来ない理由と対処方法


発達に遅れのある子どもが宿題を行うに当たって、問題となる事とその対処方法を調べて項目ごとにまとめてみました。

宿題の量や難易度と調整する

宿題の量や難易度が高いと、子供はその量に圧倒されてしまったり、問題が解けずに混乱してパニックになってしまう事もあります。その様な場合には宿題の量を少なめにしたり、比較的簡単な問題や課題にするという方法があります。

量が多かったり難易度が高いと、宿題に取り組む以前に、宿題を見ただけで意欲が無くなってしまう事があります。まずは、本人が宿題に取り組める量に設定する事も必要でしょう。

プリントや問題集などで1ページの問題量が多い場合には、半分にしたり、宿題を2回に分けて行うなどの方法も良いでしょう。

自ら宿題に取り組む行う事が出来れば、本人の自信や達成感にも繋がりますし、宿題に対する意識や気持ちも高まると思います。

宿題が出来たらご褒美を用意する

宿題を取り組むのが苦手な場合には、宿題が終わったらご褒美を用意したり、たくさん褒めてあげる方法も有ります。

宿題が終わったら「ゲームが出来る」「おやつがもらえる」「遊びに行ってよい」「晩ご飯のおかずが1品増える」など、好きな事や喜ぶことをご褒美として用意すると、子供本人もやる気が出ると思います。

また、毎回ご褒美を用意するのが難しい場合には、ポイント制などにしたり、頑張ったシールが貼れるといったやり方もあります。この方法ではポイントが何点溜まったらご褒美をあげたり、シールが何枚溜まったら好きな事が出来るといった方法を取ると良いでしょう。

宿題を頑張った際には物としてのご褒美ではなく、沢山褒めてあげる事も重要で、他人から褒めてもらうことで、自分の自信に繋がるだけでなく達成感や満足感を得ることもできます。

宿題のやり方のマニュアルを作る

発達の遅い子供の中には、宿題に取り組もうと思ってもどのように行えばよいのかわからないという事もあります。その際には宿題の行い方の手順書やマニュアルを作るという方法もあります。

マニュアルや手順書と言っても複雑なものではなく、箇条書きやメモ程度で取り組む順番を書いておくというものです。

音読なら「1.教科書を用意する」「2.読む対象ページを開く」「3.親などを呼んできて聞いて貰う」、ドリルなら「1.ドリルを用意する」「2.対象ページを開く」「3.問題に取り組む」といった感じです。

この程度の箇条書きのものでも、視覚から順番や行う項目がわかるため、宿題に取り組みやすくなる事もあります。

家庭内でルールを作る

なかなか宿題に取り組めない場合には、家庭内で宿題を取り組むための様々なルールや約束事を決める方法もあります。

例えば「宿題が終わったらゲームが出来る」「宿題を終わりにしないと遊びに行けない」「宿題が終わったらおやつやご飯が食べられる」「宿題後にテレビが見られる」などです。

曖昧な条件にしてしまうと守らなくなってしまう事もあるため、しっかりルールとして決め、定着させることが重要になります。子供本人の中でルールとして定着すると、自分からルール通りに守ることが出来るようにもなります。

子供の特性によっては先に記載した「出来たらご褒美を用意する」と併用して、宿題が終わったらご褒美がもらえるという方法を取っても良いと思います。

宿題をやる時間を決める

宿題に取り組む時間をルールとして決める事も効果があります。時間にはスケジュールとしての時間と、宿題に取り組んでいる間の時間の2つの方法を設定します。

スケジュールとしての時間には「帰宅したら最初に宿題」「おやつの前に宿題」「晩ご飯の前に宿題」など、子供の生活の流れの中に宿題を行う時間を取り入れる方法です。スケジュールとして行う場合には、予定表などを作り視覚的に流れが分かるようにすると効果的です。

また、場合によっては「月曜日は音読、火曜日は計算、水曜日は漢字・・・」といったように、曜日単位で行う宿題を予定するといった方法もあります。

宿題に取り組む時間としては「宿題は30分間行う」など、「15分の時間を2回取る」などです。時間の感覚や概念の理解が難しい子供の場合には、タイマーを用いたり、時計を用意して「針がいくつの数字を指すまで取り組む」という形で、時間を意識させましょう。

取り組む時間を指定した場合には、時間内に全部終わらなくても、その時間集中して取り組めた事を褒めてあげましょう。逆に、時間内は集中して行うように声かけや意識付けをする事も重要です。

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宿題の量や回数を決める

時間での設定が難しい場合には、宿題を行う量や個数や回数を決めるという方法もあります。

量や回数には「問題を20問解く」「ドリルを2ページ行う」「漢字の書き取りを50個行う」「音読を3回行う」など、その子の課題や宿題の量に応じて無理の無い範囲で決めましょう。場合によっては子供と相談し、子供本人に量や回数を決めてもらうと、子供の意識して取り組みやすくなります。

量や回数などは、学力の成長や、学年の進級などに合わせてその都度変更していきましょう。

家以外で宿題を行う

家庭では気を引くものが沢山あったり、兄弟や姉妹の影響で宿題に集中できない、お母さんに甘えて宿題に取り組めないと言う事も多く有ると思います。そのような場合で学童や放課後等デイサービスなどを利用していれば、それらの活動中に宿題に取り組ませてみる方法もあります。

子供は家庭と外では別の顔を持っているので、学童や放課後等デイサービスなどでは周りの人を意識し取り組めるという事も多いです。また、他にも宿題を行っているお友達と一緒に行う事で、お互いに刺激し有って頑張れる事もあります。

宿題があることを理解させる

宿題があることを忘れてしまうことが原因の場合には、宿題があることを視覚的に理解させ意識してもらいましょう。

具体的にはカバンやランドセルの目立つ場所に宿題があることを知らせるメモなどを貼り付けたり、教科書類の一番上に宿題のプリントやドリルなどを入れておくという方法があります。

家庭と連携して、帰宅したら保護者に宿題が有る事を伝えてもらったり、家の目に付く場所に宿題があることを知らせるメモやカードなどを張ってもらうという方法もあります。

宿題の意味や目的を理解させる

宿題をやる意味や理由が分からないため、宿題に取り組むのが難しいと言う場合もあります。そのような際には、子供本人の興味や理解度に合わせて、宿題を行う意味や必要を教えてあげましょう。

例としては「授業で遅れている部分を取り戻すため」「宿題を行わないと次のテストで良い点が取れない」「将来の目標にしてる職業に就くのが難しくなる」「目標の学校に行けない」などです。

本人が取り組みやすい声かけや応援をする

ただ単に「宿題をやりなさい」と言っても、子供はなかなか宿題に取り組めないと思います。そのような場合には子供本人がやる気を出すような声かけをすると良いでしょう。

例えば「宿題が出来るとカッコいいよ」「宿題が出来ると先生に褒められるよ」「お兄さん(お姉さん)は宿題が出来ると素敵だよ」などです。将来の目標が有る子供の場合には「学者になるには算数が必要だよ」「ケーキ屋さんになるには分量の計算ができないと難しいよ」などの声かけも良いでしょう。

お友達へのライバル心が有る子供の場合には「〇〇君や△△ちゃんは宿題やってるよ」「□□さんと同じ学校に行くなら頑張って」などの声かけも効果があります。

車が好きな子供に「車の免許を取るには速度の計算が必要だよ」と声をかけたり、お金持ちになりたいと言った子供に「お金持ちになるには100万円や1億円などが計算できないと難しいよ」と声をかけたことで、意欲的に算数に取り組めた子供もいます。

家庭と学校の連携

子供が家庭でスムーズに宿題を取り組んでもらうには、家庭の環境や学校での様子など、家庭と学校の連携も必要になります。

勉強の進み具合、苦手な教科や課題など、学校での様子を担任の先生や関係する教職員と連携する事も重要です。学校での指導方法や学校での取り組み、どのようなときに集中し、どの部分を苦手としているかなどを面談の際や連絡帳などでやり取りをしましょう。

また、学校から情報を聞くだけでなく、自宅での様子なども学校側に教えることで、子供にとってより良い指導方法を取ってくれるでしょう。

学校と家庭で指導方法や取り組み方が違ってしまうと、子供は混乱してしまいます。子供が落ち着いて宿題に取り組むためには、学校自宅ともに共通した行い方をする事が重要になります。

まとめ

発達に遅れの有る子供が自宅で宿題に取り組むのが難しい理由にはその障害の特徴を含め様々なものがあります。

まずは、子供の発達の状態や障害の特性などを考慮しながら、どの部分で宿題に取り組むのが難しいのかを確認する必要があります。場合によっては学校の先生にも相談し、学校での様子や授業の取り組み方などを参考にするのも良いと思います。

宿題を行う事も重要ではありますが、基本的に子供は宿題が嫌いです。発達に遅れのある子どもの場合あまり無理に行わせるのではなく、本人にストレスや負担の掛からないよう慎重に見極め、場合によっては周囲の大人が手助けをしてあげることも重要になります。

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