黒板の内容をノートに書けない

 

黒板の内容をノートに書き写せない

発達障害など発達に遅れのある子どもは、学校の授業などで先生が書いた黒板の内容をノートに書き写すことが難しい場合があります。
一見書くのが嫌でサボっているように見えても、実はノートに書くのができず子供本人が困っているということも。

黒板の内容をノートに書けない原因には文字への理解、記憶力の困難、筆記用具が持てない、ノートが合っていないなど様々な理由があります。

では実際にノートに書き写すのが難しい子供は、どのような理由から困難を抱えているのかまとめてみました。

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黒板の内容をノートに書き写せない理由


発達に遅れのある子供は、障害の特徴や特性、文具があわない、環境など様々な理由でノートを書くことが難しいと感じています。

文字への理解が困難

文字への理解が乏しかったり、文字を書く事が難しい段階の子供の場合、ノートに書き取る以前に、文字を書くこと自体が困難なことがあります。

ノートが取れない場合には、文字の書き取りなどで文字への意識や理解のレベルを確認し、文字の練習から始めると言う事も必要です。

書き取る作業を分ける

黒板の内容をノートに書き写すという行動には「黒板を見る」「書いてある内容を理解する」「内容をノートに書き写す」という複数の作業を同時に行う事になります。

通常の子供であれば特に意識をせずに、黒板の内容を見ながらノートに書き写すことが出来ると思いますが、発達に遅れの有る子供は、複数の動作を同時に行うのが難しいことがあります。

そのため同時に行う事が困難な際には、黒板を見て内容を理解する時間と、理解した内容をノートに書き写す時間を作ると、ノートが書きやすくなるだけでなく、本来の目的である黒板に書かれた内容の理解にも繋がります。

ワーキングメモリの問題

ワーキングメモリとは作業記憶などとも呼ばれ、行動をする際に短期的に記憶される情報とその処理能力のことを言います。

例としては会話の際に相手が話した言葉の記憶と理解などで、ノートを書き写す作業では黒板の内容を理解し記憶する部分になります。

発達障害など発達に遅れのある子供は、このワーキングメモリの容量や処理能力が低いとされ、発達障害に見られる様々な困難はワーキングメモリの能力が大きな原因のひとつとも言われています。

集中ができない

様々な理由から集中力がかけてしまうのも、発達障害の特徴のひとつです。

黒板にの周囲や視界に入る場所に掲示物などがあるとそちらに興味が向いてしまったり、窓の外に気になるものが見えるとそちらに注意が向いてしまうといったことがあります。

感覚過敏の特徴を持っていると、聴覚過敏ではお友達の話し声やエアコンなどの音が通常よりも大きく聞こえたり嫌な音に聞こえるという場合や、視覚過敏を持っていると蛍光灯や窓から入る太陽の光がまぶしいと感じる事があります。

椅子や机が自分に合っていない場合には、体を支えるのが難しかったり、お尻が滑って正しく座れず、姿勢を正す方に集中してしまうということもあります。

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ノートに書く部分を教える

黒板や教科書の内容をノートに書く場合、重要な部分や要点を書いたり、自分の理解が不足している部分を書くと思います。

しかし、発達に遅れの有る子供の場合、何処の部分が重要なのか分からず、全てを書き写そうとする事があります。

ノートに書き写す部分の理解が難しい子供の場合には、ノートに記載すべき場所を教えてあげたり、教科書にマークやラインを引いて目で確認して理解できるようにすると効果的です。

書き出し部分を教える

ノート書かなければいけない部分を理解していても、書き出しが分からなかったり、書き出すまでに時間がかかってしまう子供もいます。

ノートの書き出し方が分からない子供には、書き出し部分を教えてあげたり、先生や周囲の大人が最初だけをノートに書いてあげるようにしましょう。

穴埋めやワークシートを利用する

ノートに沢山の文字や文章を書くのが難しい場合には、あらかじめ穴あき問題のように穴部分を書いて埋める形式のプリントを用意したり、重要な部分だけを書き入れるようなワークシートを使うという方法もあります。

最初は簡単な穴埋めから始めて、文字を書き写すことに慣れて来たら穴の部分を多くしたり長くするなどレベルに合わせてあげます。

最初はなかなか書くことが難しくても回数をこなすことで書けるようになり、子供本人の自信にも繋がります。

目を上手に動かすことが難しい

黒板や教科書の内容を書き写すためには、視線の黒板などの遠い場所から手元のノートに移動したり、机上の教科書からノートに移動するといった視線の動きが発生します。

この際に目の動きがスムーズに行えないと、視点を切り替えるのに時間がかかってしまい、結果としてノートを取るのにも困難が生じます。

このような見ていた点を別の視点に移動させる動きを『跳躍性眼球運動』と言います。視点の移動だけでなく、視点を一箇所に留めて置くのが困難な子供もおり、実際に学習障害を持つ子供にも『跳躍性眼球運動』の影響が見られる事があります。

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跳躍性眼球運動(衝動性眼球運動)とは| 発達障害-自閉症.net

ノートの脇にお手本を置く

黒板の内容を書き写すのが難しい場合には、ノートの脇に黒板の内容やノートに書き写す内容をプリントし、それを書いてもらう方法もあります

黒板とノートとの間で目を動かして書くのが難しい場合には効果的な方法です。

鉛筆やペンを正しく持つのが難しい

鉛筆やペンを正しく持つのが難しいために、スムーズに文字を書けず結果としてノートを取ることが出来ない場合もあります。

鉛筆やペンの正しい持ち方だけでなく、発達の遅れの特徴から指先の器用さである巧緻性が低いと鉛筆を握ったり動かすことが難しくなるほか、力の入れ加減が調整できず書くことが難しくなります。

発達の遅れの特徴として手や指先の感覚過敏などを持っていると、鉛筆やペンを触るのが苦痛に感じる事があります。指先の感覚過敏を持つ子供の場合、指で鉛筆を触るのを嫌がるため、軽く持ったり摘むような形で持つ事が多いです。

鉛筆やペンを正しく持つのが難しい場合には、鉛筆の補助具を利用したり、軸が太い物などを使い、持ちやすいように工夫してあげましょう。

子供の能力に有ったノートを使う

ノートにも様々なマス目や枠線の物がありますが、子供の書く能力に有ったものを選ぶのも重要です。

1つ1つの文字を書くのが難しい場合には大きめなマス目のものを選び、文章が書ける子供の場合には適した幅や行間隔のノートを使いましょう。

場合によっては補助線を引いてあげたり、なぞり書きが出来るように下書きなどを入れる方法も効果があります。

綺麗に書かなくても良い事を教える

文字が上手に書けなかったり、行やマスからはみ出してしまい、何度もやり直したりしまうような綺麗さにこだわる場合には、綺麗に書かなくても良いということを教える必要もあります。

文字を綺麗に丁寧に書くことももちろん大事ですが、そこにこだわりすぎて内容を書ききることが出来なくなってしまい場合には、まずは書き終わるということを重要視しましょう。

ノートは基本的に自分が読めて内容が理解できれば十分なものです。そのため、綺麗に書くことばかりに重点が行ってしまう場合には、自分が読めれば良い事を教えましょう。

先にも書きましたが、綺麗にかけない場合には適したサイズのマス目や行のノートを使うことで解決する事もあるので、どの部分で綺麗に書くことが出来ないかを確認する事も重要になります。

ノート以外のものを用いる

ノートと鉛筆で書くのが難しい場合には、iPadなどのタブレットを利用したり、パソコンを使って文字の書き写しを行うと言う方法もあります。

授業などではこれらの機器を使うのは色々な面から難しいかと思いますが、子供の勉強や理解を伸ばすには重要な方法になります。

ノートが書けない事で困難を抱えて子供のやる気や学習の機会を逃がすより、代替品を使用する事で子供の可能性を伸ばせるなら、iPadやパソコンなど子供が無理なく扱えるものを使うようにしましょう。

書けたことをほめる

ノートに書き写すのが苦手でも頑張って書くことが出来たら褒めてあげましょう。この際は内容や文字の綺麗さなどは指摘せず、書けた事自体を褒めるようにします。

本人は頑張って書いたのに、文字の汚さや雑さを指摘されてしまうとやる気が無くなってしまう事もあります。まずは書けた事を褒め、子供の自信が付くようにしましょう。

書くことに自信が付き苦手な意識が無くなったら、内容や文字の丁寧さなどを教えていきましょう。

褒めるだけではなかなか取り組むことが難しい場合には、書けたら出来ましたシールなどを貼ってあげたり、何らかのご褒美を用意してやる気を持つような誘導を行うと良いでしょう。

まとめ

授業中や学習の際に子供がノートを取ることが難しい場合、その子供の特徴や特性などから様々な理由が考えられます。

まずは黒板の内容をノートに取ることが難しい理由の原因を突き止め、その部分を補う方法を考えてあげましょう。

環境によっても書ける書けないの差が出てくると思うので、家庭、学校、利用している放課後等デイサービスなどとも相談し、それぞれが行っている取り組みや配慮なども参考にすると良いと思います。

発達障害など発達に遅れのある子供がノートに書き写すのができないのは、本人も困っている事でもあります。大事なのは本人が困っている事を理解し、一緒に寄り添って解決してあげる事になります。

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