子供が整理整頓・片付け・物の管理が出来ない理由とその対処法

   2019/05/20

子供が整理整頓・片付け・物の管理が出来ない理由とその対処法

使った物を片付けるのが苦手であったり整理整頓をするのが難しく、部屋が散らかってしまったり、すぐに物を亡くしてしまうという子供は多いと思います。

子供の中でも発達障害を持つ子供は特に物の整理整頓や物の管理が苦手だという傾向があります。

自閉症など発達に遅れのある子供の場合、自分の興味が有る事や物に対してはしっかりと順番通りに揃えたりする事は有りますが、興味が無いことに対してはその能力を生かすことが出来ません。

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遊び終わったものをそのままにしてしまったり、脱いだ着替えや学校の道具を所定の位置に置くことが出来ず、部屋が散らかってしまうといった子供も多く、私がかかわっている
お子さんにもそのような特徴が見られる子も多くいます。

では、発達に遅れがある子供の場合、何故後片付けや整理整頓が苦手なのでしょうか。

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整理整頓や片付けや物の管理が出来ない理由

発達に遅れのある子供たちが何故、整理整頓や後片付けなど物の管理が出来ないのか、その障害の特徴や特性、理解能力など様々な面から調べてまとめてみました。

物の管理や整理整頓することの意味を教える

発達障害など発達に遅れの有る子供の場合、物の管理や整理整頓自体の意味が分からないと言う事があります。

このような場合は、親がお手本を示したり、お友達が片付ける様子などを見て理解してもらう必要があります。

物の管理や整理整頓の理解が無いと物を片付けることなかなか繋がりません。まずはお手本を見せ、手伝いながら一緒に行ってあげましょう。時間は掛かりますが、徐々に子供も物への管理や整理整頓などへの理解が深まっていくでしょう。

整理してある状態を理解させる

子供に「物を整理して」「綺麗に片付けて」と注意をしても、どの様な状態が整理されているのか、綺麗な片付け方とはどの様な事なのか子供にはわかり難いと思います。

ロッカーや机の中に乱雑に物が詰め込まれていても、はみ出していなければ「綺麗な状態だ」と思っている子供もいたりします。

正しい整頓状態の理解が難しい場合には、先生や親が整頓されている状態を作ってお手本を見せたり、綺麗な状態を写真に撮って貼っておくという方法があります。

片付けや整理の順番を教える

物の片付けや整理をしたくても、どの様な方法や順番で行えばよいかわからないと言う場合もあります。特に発達に遅れのある子どもの場合、順序や効率よく考えることが苦手だという特徴を持つ場合も見られます。

整理整頓をする場合、順番に入れていかないと正しく入らなかったり、物が入りきらないと言う事があります。子供の場合はまず目に入った物から処理をする事が多いため、大きな物から片付け始め、細かいものは最後まで残ってしまうと言うことが多いです。

片付けの順序や効率などの理解が難しい場合には、物を片付ける順番がわかる手順書やマニュアルを作るという方法があります。

手順書やマニュアルは絵や実際の写真付きで、1番目は何々を入れる、2番目には何々を入れるといった単純な物が良いでしょう。

具体的に片付けの指示を出す

発達に遅れの有る子供の場合「綺麗にして」「お片付けをして」と言われても、漠然としすぎて分からなかったりする事があります。

片付けや整理整頓の指示をする場合には「鉛筆を筆箱に入れて」「着替えをかごに入れて」「車のおもちゃをおもちゃ箱に入れて」など、具体的に指示を出すようにしましょう。

基本的には1つずつ指示をだして、1つ出来たら次の事を指示するようにしましょう。具体的な指示でも、一度に複数のことを言われてしまうと、内容を覚え切れなかったり、混乱してパニックなどに繋がる事も有るので注意が必要になります。

持ち物に名前やシンボルマークを付けて分かりやすくする

自分の持ち物の管理が出来ない場合には、目印となるマークを付け、目の情報から理解してもらう方法があります。

文字や自分の名前が分かる子供の場合には、名前を書いたり、名前シールや名前のラベルをつけると良いでしょう。文字の理解が難しい子供の場合には、子供の好きな色のシールをつけたり、好きなキャラクターのシールなどを使って持ち物に目印をつけましょう。

学校などでは子供一人ひとりに決まったシンボルマークなどを設定し、〇〇君はぞうさんのシール、□□ちゃんはウサギさんのシールなどで持ち物に目印をつけている事が多いです。

また、子供が自分のシンボルマークを理解し易いように、机や椅子、ネームカード、ロッカー、下駄箱、ハンガー、カバン掛けなどにも統一したシンボルマークをつけて構造化している事が多いです。

置き場所を意識付ける

使ったものを決まった場所に片付けることが難しい子供の場合には、所定の位置に物の名前を書いたラベルを貼ったり、実際の写真カードなどを付けておくという方法があります。

例えばハサミを入れる場所には、「ハサミ」と名前を書いたり、実際にハサミの写真を付けて置きましょう。置き場が決まっている場合には、実際に物を置く場所に実物大の写真などを付けておくと、その場所に置けばよいのだと子供も分かりやすいと思います。

物を片付ける際には、そのつど「ハサミは道具箱の中だよ」「体操着はロッカーに入れるよ」など声かけをして戻す場所を意識させることも効果があります。声かけで慣れて来たら今度は逆に「ハサミは何処に片付けるのだっけ?」と質問型式にして、子供本人に確認させるという方法も良いでしょう。

物の置き場リストを作る

物の整理整頓がある程度できるようになったら、物の置き場所リストを作って物の管理をする方法もあります。

自分でリストを見ること物を取り出したり後片付けをする事で、物の種類や場所などへの意識向上にも繋がります。また、リストの内容から、自分で管理する物の個数や種類などへの理解も深まるでしょう。

使った物入れを作る

使った物をそのつど所定の位置に戻したり、細い整理整頓が難しい場合には、大雑把な使った物ボックスなど作り、使い終わった際にそのボックスに入れるようにしましょう。

使った物ボックスに入れることで、少なくとも使った物が無くなってしまうという事はなくなり、子供本人も使い終わった物はそのボックスに入っていると言うのを理解することができます。

使ったものボックスは使い終わったらそのままにするのではなく、ある程度溜まったらそれぞれの物を所定に位置にもどしたり、定期的に片付けの時間などを作って整頓するようにしましょう。

使ったものボックスでの大雑把な整頓が出来るようになったら、ボックスを入れる物の種類ごとに増やして行き、徐々に細かい整理整頓が出来るように移行しましょう。

それぞれの物に適した整頓場所を作る

子供が使う物にも様々な種類や形状があるため、その物に適した入れ物や整頓場所を作ることも必要です。

プリントや紙類はクリアケース、本や教科書類は本棚、おもちゃやぬいぐるみなどは大型のボックス、鉛筆や文房具は小型のボックスなどです。

それぞれの入れ物は物の入れやすさだけでなく、子供の理解のしやすさ、物を簡単にに仕舞ったり取り出したり出来るかなども考慮が必要になります。

種類ごとの入れ物を作る

物が多く煩雑になってしまう場合には、種類ごとの入れ物を作る方法もあります。おもちゃはおもちゃ箱、筆記用具は筆箱、文房具は小型のボックスなどです。

教科書やプリント類が整理出来ない場合には、教科毎にジッパー付きの書類ケースや、クリアファイルにまとめる方法も有ります。

整理整頓をする範囲を決める

部屋などがぐちゃぐちゃになった状態でいきなり「片付けて」と言われても、子供は何処から手をつければ良いのかが分からず混乱してしまう事もあります。整理整頓する範囲が広い場合や片付ける物が多い場合には、範囲を指定したり、片付けを行う物を決めるのも効果的です。

例としては「机の上を片付けて」「床のものを片付けて」など具体的な場所を指定したり、「本を本棚に片付けて」「着替えをカゴに入れて」など物の種類ごとに片付けさせるといった方法があります。

物を出したり使ったら直ぐに片付けるよう意識させる

発達に遅れのある子供の場合、物を使い終わると片付けの事はおろか、物を使っていた事や物を出した事さえ忘れてしまうという事があります。

そのような際には、物を使い終わったらその都度声をかけて片付けへの意識をつけてあげる必要があります。

必要なものを出す場合に、目的の物意外にも関係ないものまで出してしまう事もあります。例えばロッカーから着替えを出す際に、上手に出すことが出来ず他の物も全部取り出してしまったり、物を取り出す際に目に入った道具に興味を引かれて出してしまったりです。

この場合にも出しっ放しにしてしまうと乱雑になったり物の紛失に繋がるので、必要の無いものを出してしまったら、その場で片付けるような声かけや意識付けをしてあげることが必要になります。

使うものを意識させる

物を使う際にはどの道具を使うのか、量はどの程度必要なのかなど、あらかじめ必要なものを意識させる必要があります。

発達が遅い子供の場合、実際に使うものが分からず色々な物を取り出してしまったり、必要以上の量を持って来てしまうと言う事があります。また、関係ない道具でも目に入ったり気になったら取り出してしまうといった事もあります。

必要が無い物を持ち出したりしてしまった場合には、「それは必要かな?」「これは何に使うの?」など声かけをして、本人に考えて理解をしてもらい、必要の無いものは片付けるように促しましょう。

活動を行う前に必要なものを自分で意識して用意するのも、物の管理や整理整頓へ繋がります。

一つ使い終わったらその都度片付ける

一つの物を使い終わったらその都度片付ける事も必要です。沢山のものを出してしまうと何処から出したのか忘れてしまったり、後で片付ける際に物の多さに圧倒されて、スムーズな片づけが出来ないと言う事もあります。

一つの物を使い終わったらそれを片付けないと、次の物を出したり次のおもちゃで遊べないと言ったルールを作り徹底させるといった方法を取る事も良いと思います。

発達に遅れの有る子供の場合には、一度の多くの事をこなすのが難しいので、こまめに片付けや整頓をするように促してあげましょう。

また、学校から帰ってきて直ぐにゲームなどで遊んでしまう子供の場合には、ゲームをやるためには学校の道具を片付けてからといったお約束を作ることも必要です。

整理整頓の意味を教える

整理整頓や物を管理するのが難しい場合には、整理整頓の意味や必要性を教えると言うことも重要です。

整理整頓をすることで、物がどの場所にあるのか、物が何個有るのかが一目で分かるようになります。物を管理し正しい場所に戻すことで、次回使うときに探さなくても直ぐに取り出せるというメリットなどを教えてあげましょう。

必要な物が見つからず探していたり、物が無くなって困っている際には、反省も込めて次回からはしっかり片付ければ、大変な思いをして探したり、物が無くて困る必要が無いことを教えてあげましょう。

あえて物が見つからず困った状態を作らせて、整理整頓の大切さを学ぶ経験をさせることも良いと思います。

子供本人が行いやすい整理整頓方法を用いる

周囲の人が整頓方法を教えても、子供本人にとっては難しかったり、理解が困難と言う場合もあります。そのような際には子供本人がやりやすい整理整頓方法を行わせてあげましょう。

子供本人が行っている整理整頓方法が多少雑で有ったり非効率で有っても、本人が自分から行っている方法を否定せず、そのやる気を褒めて認めてあげましょう。細かい点を注意してしまうと子供の自信なくなったり、生理整頓のやる気が無くなってしまうということにも繋がりかねません。

まずは、子供本人のやる気を尊重し、徐々により良い方法を教えたしてあげましょう。

物を必要最低限にする

物の管理が難しい場合には、必要な物を最低限しか用意しないという方法もあります。

まずは子供本人が意識して管理できる個数から始め、徐々に物の個数や種類を増やして、管理や整理整頓が出来るようにしていきましょう。

整理整頓の時間を作る

授業中や活動中に整理整頓が難しい場合には、整理整頓を行う時間を決めて行うと言う方法もあります。

学校などでは授業終了前や下校前に5分間や10分間など決まった時間をとって行いましょう。家庭などでは遊び終わり、ご飯の前の5分間など次の行動に移る前が良いと思います。

授業中や活動中は他の事に気が向いてしまい整理整頓が難しい場合でも、毎回決まった時間を作ることでその間は集中して整頓が出来ると思います。

まとめ

発達に遅れの有る子供が整理整頓が難しい理由には、上記のように様々な物があります。

整理整頓では健常児でも取り組むのが難しく、大人でも苦手だということも多いので、無理をせず少しずつ時間をかけて徐々に子供本人に理解をしてもらいましょう。

片づけが出来るようになるまではとても時間がかかると思いますが、周囲の人はイライラして怒ったりしてはいけません。子供は一生懸命に整頓をしようとしても、親などから怒られてしまうと自信をなくしたり、整理整頓自体に恐怖を抱いてしまう事もあります。

まずは子供本人が整理整頓に対して苦手としている部分を見つけ、それを補ったり理解が出来るような工夫をしてあげることが重要になります。

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