発達に遅れの有る子供への接し方や関わり方

 

発達に遅れの有る子供への接し方や関わり方

発達に遅れの有る子供にはどのように接すればよいのか、なかなか難しく不安に感じることもあるかと思います。

このサイトの管理人である私自信も最初はどうすればよいのかわからない事だらけで悩んだことも有りました。

そんな私自身が多くの子供と関わる中で、感じたことや実践して効果が有ったことなどをまとめてみました。

発達に遅れのある子供への接し方

発達に遅れの有る子供はその特徴などから、接し方や関わり方にも注意が要る場合もあります。私が子供と関わった中で、特にポイントとなる点をまとめてみました。

子供の障害の内容や特徴などを知る

発達に遅れの有る子供には、こだわり、出来ること、出来ないこと、苦手なこと、好きなことなど様々な特徴や特性があります。この特徴は人によりバラバラで、同じ特徴を持った子はいないといっても過言ではないほどです。

発達の遅れだけでなく、てんかんなどの疾病や障害の病的な特性を知ることも必要になります。てんかん発作を持っている場合には対処法や救急搬送のタイミングなども予め確認して置きましょう。

また、パニック、自傷行為、他害行為など、子供本人や周囲の人への影響が出てしまう問題を抱えている場合も有るので注意が必要になります。

そのため、発達に遅れの有る子供とかかわる前には、保護者からアセスメントをした内容や、既にその子と関わったことのある人から、情報を聞くことが重要になります。

相手を尊重して接する

自閉症などの発達障害やそれに関わる知的障害を持っていても、相手は一人の人間です。障害が有るからといって、ぞんざいに接してはいけません。

尊重した接し方としては「年齢に応じた対応をする」「一人の子供・大人として接する」「適切な上下関係や立場で接する」などがあります。

会話の言葉も状況や場面などで使い分け、指示や注意をするときは正しく分かりやすい言葉遣い、休み時間中や遊びの場面などでは楽しめるようなフラットな会話など使分けると良いです。

簡単な言葉で話す

自閉症や発達障害など発達に遅れの有る子供は、長い会話だと何を話しているのか理解ができなかったり、途中で会話を忘れてしまうことがあります。曖昧な表現も理解が難しく、言葉通りに読み取ってしまうことが有ります。そのため、「何をどうする」「何がどうだ」などの簡潔な短い言葉を用いるのが効果的です。

話す際には聞きやすいゆっくりとした速さで、大きな声ではっきりと話す必要が有ります。

話していることを気付かせる

子供達の中にはこちらが話しかけても、物事に集中していて気が付かなかったり、自分に話しかけられているのでは無いと思い、こちらの話に耳を傾けてくれないことが有ります。

その場合には、子供の肩を叩いて気付かせたり、子供の目の前で話す必要が有ります。正面で話す場合でも子供が意識できる視野が狭かったり、距離感で子供が話しに集中できない事もあるので、その子供に応じて話す位置なども注意する必要があります。

選択肢を作る

発達に遅れの有る子供は、自分から何かを選んだり、物事を決めたりするのが難しいことが有ります。例えば漠然とした中から「何で遊びたい?」「何を食べたい」など決めることなどです。

そのような場合にはいくつかの候補の中から選択できるようにすると、子供達も自分で判断して選びやすくなります。

選択肢や選択方法は子供のレベルにより様々ですが、数種類の絵カードから選んでもらったり、右手と左手を見せて「何々ならこっちの手をタッチ、違うものなら逆の手をタッチ」という方法でも選びやすいと思います。

選択肢も4つ程度から、2択など子供の選びやすい個数を使うと良いでしょう。簡単な「はい・いいえ」や「○・×」が選択できるだけでもコミュニケーションの幅が大きく広がります。

視覚から理解をしやすくする

発達に遅れの有る子供の多くは視覚優位であると言われています。視覚優位とは言葉や文章で指示されるよりも、写真や実物などを目で見たほうが理解をしやすいというものです。

視覚優位の子供である場合は、言葉で話しかけながら実物を見せたり、写真や絵カードを使うと、言葉での指示だけよりも理解が深まります。位置や物を教える際に指差しなどのジェスチャーを交えると効果がある事も見られます。

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自閉症や発達障害と視覚優位と聴覚優位| 発達障害-自閉症.net

順序や予定を教える

発達に遅れのある子供の中でも自閉症などの子供は未来の予測をする事が難しく、予定に無いことが不意に発生すると、どう対処をして良いのかわからず、混乱してパニックになってしまう事が有ります。

物事を行う際には順序や手順を教えたり。その日の流れやこれから発生する事が予め分かっている場合には、それを説明して納得してもらう必要が有ります。

順序や予定を教える場合には、実際の行動を模範として示してみてもらったり、視覚的にわかりやすい予定表などを用いてスケジュールを示すと効果が有ります。

終わりの回数や時間が決まっている場合にもその回数や時間を教えてあげましょう。

関連ページ
自閉症は状況の変化や変更が苦手で嫌う| 発達障害-自閉症.net

予定の変更をしない

先の項目にも書いたように、自閉症や発達障害の子供は不意な変更に対処することが非常に苦手です。そのため、必要のない予定の変更は行わないようにします。

どうしても予定を変更しなければならない場合には、予定の変更が発生した時点で、子供に知らせて理解してもらい同意を得る事が必要になります。

また、大きな変更でなく、些細な違いでも不安になったりパニックになる事もあるので注意が必要です。

注意をその場で行う

子供が良くない行為を行ってしまった場合には、その場で説明をして注意をする必要が有ります。発達に遅れの有る子供は、後になって注意を受けても問題となった事を既に忘れていたり、時間の感覚の理解の困難からいつの事を話しているのか分からずに混乱してしまう事があります。

自閉症など発達障害の人の記憶の中の時間の流れは、線では無く点であるといわれています。通常ですと時間は「過去・現在・未来」が時間の流れどおりに線で繋がっています。しかし、自閉症の人の記憶では「昔何々が有った」という記憶が点でしか存在しておらず、それが古いことなのか、新しいことなのかがわからない事があるそうです。

オーバーアクションを取る

自閉症の子供は視覚優位と言う事もあり、話す際にはジェスチャーを交えてオーバーリアクションに行うと、注意や意識をこちらに向ける事ができます。

子供はオーバーアクションのほうが注意を引くだけでなく、見ていて楽しいと感じるようです。保育士さんが手遊びや絵本読みを行う際にはオーバーアクションを取っていたり、NHKの教育番組で歌のお兄さんやお姉さんも大げさな程オーバーな動きをしているのも参考になると思います。

最近では子供にも人気なユーチューバーのヒカキンさんの動画などを見て、興味を引きそうな動きや話し方を参考にしたりしています。

不安を理解し安心させる

自閉症や発達障害の子供は、行動、場所、人、音、臭い、気温など様々なことから不安やストレスを抱えてしまうことが多いです。特に不安などから困っている場合でも、自分か相手に助けを求めるという行動を取るのは非常に難しいものです。

不安やストレスを感じると、自分を叩いたり噛んだりと自傷行為をしたり、他人に手を出してしまうこともあります。また、大きな声や奇声をだしたり、同じ言葉を繰り返したり、手を叩いたり、体を揺らしたりと常同行動と呼ばれる動きをする事が有ります。これらの行動は本人の中で気持ちを落ち着かせたり、不安や緊張を和らげる為に行っています。

基本的にパニックや問題行動は本人が困ってSOSのサインを出していると思いましょう。

不安やストレスを感じていると思ったときには、その子に寄り添って不安をの原因を探って取り除いたり、より本人の落ち着けるように配慮をしてあげる必要があります。

関連ページ
パニックとその対処方法| 発達障害-自閉症.net

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自閉症の常同行動とは| 発達障害-自閉症.net

適度なコミュニケーションを取る

発達に遅れの有る人の中でも自閉症の子供などは、他人とのコミュニケーションが苦手で苦痛を感じている事もあります。そのため、相手の表情や行動などで嫌がっていたり、ストレスを感じていると思ったときには無理に関係を持とうとせず、距離をとって見守ってあげる事も必要になります。

否定の言葉がけはしない

発達に遅れの有る子供は否定的な言葉を理解するのが難しい場合があります。「遊び終わったら片付けなくてはいけません」ではなく「遊んだら片付けます」の方が子供は理解が容易になります。

否定だと「咎められた」「批判された」と思って気分を悪くしてしまう事もあります。否定で声をかけてしまうと否定のままで会話が終わってしまいがちですが、「散らかしてはいけません」を「片付けられると偉いよね」などのように、否定の言葉を肯定の言葉で置き換えることで本人のやる気や自信にも繋がります。

まとめ

発達に遅れの有る子供へのかかわり方や接し方は、健常の子供への接し方と基本は変わりまん。しかし、自閉症や発達障害など発達に遅れの有る子供特有の行動や症状には理解しなくてはいけない部分も有ります。

全てを理解するのには時間がかかると思いますが、子供に接していく中で問題となる部分や逆にその子の良いところが見えてくると思います。また、接する機会を増やす事で子供側も慣れ、子供たちからアプローチをしてくれることも増えるでしょう。まずは深くは考えず、子供が楽しめるように接してあげることが大事だと思います。

そして大切なのは、自閉症や発達障害などの発達の遅れが有るからといって、必要以上に特別扱いしたり、逆にぞんざいに接するのではなく、相手を思いやり一人の子供としてかかわる事です。

このページに書かれた内容が全てではなく、子供の特性によっては逆効果になってしまう事もあるかも知れませんが、発達に遅れの有る子供と接する際に少しでも参考になれば幸いです。

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