ダウン症(ダウン症候群)とは

   2015/10/05

ダウン症(ダウン症候群)とは

ダウン症(Down syndrome)とは体細胞の21番染色体が1本多い3本(トリソミー)になってしまう事で発生する先天性の遺伝子疾患です。遺伝子疾患及び染色体異常の中ではもっとも発生率の高い病気となっています。

染色体が3本となる疾患にはダウン症候群の他に「パトウ症候群」 「エドワーズ症候群」が有ります。

イギリスの眼科医ジョン・ラングドン・ハイドン・ダウンが1866年に論文で発表したことから「ダウン症」と名づけられました。

独特な顔つき、軽度から中度の知的障害、身体の成長の遅れなどが特徴です。

ダウン症の原因

ダウン症の原因は21番染色体が1本多い3本(トリソミー症)になる事で発生します。

染色体異常は、不分離(細胞分裂の際に対を成す染色体が両方に分離できないこと)や転座(染色体が切断され、同じ染色体や他の染色体に融合すること)によって発生し、ダウン症の95%は染色体の不分離によって発生しています。

母親の出産年齢が高いほどダウン症の発生頻度は高くなり、25歳未満で約0.05%、35歳で約0.3%、40歳で約1%とされています。

ダウン症の女性の多くは妊娠が可能であり妊娠をして出産をする事もありますが、親がダウン症の場合に子供へのダウン症の発生率は約50%と、非常に高い確立で遺伝します。

ダウン症の種類

ダウン症の種類には原因により「標準型21トリソミー」「遺伝性転座」「モザイク型」の3種類が有ります。

標準型21トリソミー

標準型21トリソミーとはダウン症の95%と大多数にあたるタイプで、21番染色体が正常に分離できない事で発生します。
このタイプは精子または卵子形成時の減数分裂時の染色体不分離が原因となります。

遺伝性転座型

遺伝性転座型とはダウン症の約3%にあたるタイプで、21番染色体が同じ21番染色体や他の染色体に付着する事で発生します。
このタイプは父親か母親のどちらがが均衡転座(染色体の一部が欠損して他の染色体に融合している状態)である事が原因となります。

モザイク型

モザイク型とはダウン症の約1%から2%にあたるタイプで、身体に正常な21番染色体と3本となってしまった21番染色体が混在している状態です。
モザイク型の80%は死産や流産となりますが、20%は出産後も成長できダウン症の中でも比較的軽度となります。

ダウン症患者の数

ダウン症の発生率はおおよそ800人から1000人に1人とされており、統計的に日本では約100万人のダウン症患者がいるとされています。

2014年4月に日本産婦人科医会が行った調査では、ダウン症の発生数が1995年の1万人に6.3人から、2011年には13.6人と15年で約2倍に増えたとの統計を出しました。
これは高齢妊娠の増加に伴いダウン症の発生が増えたと考えられています。

なお、現在は「新型出生前診断」「羊水検査」などで妊娠時にダウン症であるかを検査することが出来るため人工中絶をするケースも増えているようです。

ダウン症の特徴

ダウン症の大きな特長にはいわゆる「ダウン症顔」と呼ばれる顔つきが知られており、「目が二重で釣りあがっている」「耳がやや下の位置についている」「舌が長いまたは大きい」「全体的に顔のパーツが中心に寄っている」「顔が平べったい」などがあります。
この、独特な顔つきが西洋人から見て蒙古人に似ている事から蒙古症(Mongolism)と呼ばれていた時代もありました。

身体的な特徴としては「皮膚が柔らかい」「低身長」「手足が短い」「手の小指の関節が1つしかない」「耳の上部が折れ曲がっている」「手のひらに猿線(頭脳線と感情線が横1本で繋がっている)がある」「太りやすい」「肥満」「筋力が弱いことから体が柔らかい」等があり、胡坐(あぐら)をかいて座ることが多く見られます。

疾病的な特徴としては「鎖肛」「斜視」「難聴や耳の感染症」「先天性心疾患」「白血病」「甲状腺の機能障害」などを伴っている場合が多く見られます。

性格的にはダウン症児は「人懐っこい」という特徴もあります。

ダウン症には一般的に軽度から中度の知的障害を伴いますが、知的のレベルは健常者と変わらない場合もあり人それぞれとなっています。

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