お友達と関わったり遊ぶことが難しい

   2019/03/05

お友達と関わったり遊ぶことが難しい

自閉症などの発達障害の子供の特徴として、同年代のお友達と遊んだり、適切な関係を気築く事が難しい場合があります。グループ活動では参加していても浮いてしまって一人ぼっちになったり、いつの間にか友達の輪から離れているということもあります。

このような状況は幼稚園や保育園などに入園した際に気付くことが多く、他の子はお友達と一緒に遊んだり同じ輪の中で楽しそうにしていても、発達障害を持つ子は離れた場所にいたり一人で遊んでいるという事があります。

もちろん全ての発達障害を持つ子が、お友達と関わるのが難しいというわけではなく、誰とでも仲良く遊べたり、沢山のお友達が居る子も見られます。

では、どのような理由から発達障害の子供はお友達と関わることが出来なかったり、一緒に遊ぶことが出来ないのか調べてみました。

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お友達と関わるのが難しい理由

発達障害の子供がお友達と遊んだり、適切な関わり方やコミュニケーションを取るのが難しい理由には様々なものがあります。また、これらの理由は1つだけではなく、複数の理由が重なり合っているということもあります。

コミュニケーション能力の問題

自閉症などの発達障害の子供の大きな特徴として、コミュニケーション能力の困難と言うものがあります。

重度の自閉症の子供の場合には言葉を発することが出来なかったり、話すことが出来ても単語程度しか喋れないということがあります。言葉を上手に話すことが出来るように見えても、その場にあった適切な会話が出来ない、自分の気持ちを一方的に喋ってしまう、場面や人が違うと会話が成立しないということもあります。

会話が難しい場合や間違ったコミュニケーション方法を覚えてしまった場合には、相手を叩く・引っ張るなどの行動を取ったり、相手の嫌がることで気を引こうとする事もあります。

自分が好きな事や良かれと思っている行動でも、お友達にとっては迷惑だったり嫌がっていることもあります。発達障害であると相手の表情を読み取ったり、相手の気持ちになって考えることも苦手であるため、お友達から嫌われてしまい結果として一人になってしまうということもあります。

コミュニケーションは対人関係の基本であるため、コミュニケーションを適切に取ることが出来ないと、お友達と仲良くなる事は難しくなってしまいます。

対人認知が低い

対人認知とは他人が自分にとってどのような存在であるかを認識することです。対人認知には相手の行動などから性格や感情を捉えたり、自分にとって近い(仲の良い)存在なのか遠い存在なのかを把握したりします。

発達障害の子供は対人認知能力が低い事も多く、家族や先生など自分にとって役に立ったり必要である人間しか覚えることが無かったり、逆に道ですれ違った全く知らない人にでも、人懐っこく話しかけたり抱きついたりしてしまう事もあります。

対人認知が低いと他人と協調した動きを取ることも難しくなり、一人で好き勝手行動しているように見えたり、お友達や仲の良い子供が周囲に居ないことに気が付かず、寂しいという気持ちも感じないため、自分から仲間を作ろうとしない場合もあります。

興味や関心分野が狭い

自閉症や発達障害の特徴として『活動や興味の幅が狭い』と言うものがあります。

健常の子供であれば面白いものや楽しそうなものなど、色々なものに興味を示します。しかし、自閉症や発達障害の子供は興味や関心を引く分野が狭い傾向にあり、特定の物事に強くこだわるという事がみられます。

活動や興味の幅が狭いと、共通の話題を持つ事が出来ず、お友達の輪の中に入れなかったり、お友達の話や行動に興味を持てないということがあります。

思考や知能が低いため

自閉症や発達障害の子供は知能指数が低い知的障害を持っていたり、読み書きや計算などに困難を示す学習障害を持っていることもあります。

年齢の小さいうちは他の子供との開きが少ないですが、年齢が上がるに連れてお友達との差も大きくなってしまいます。そのため、同年代のお友達と比べて思考が幼かったり、能力が劣ってしまい、お友達の会話や遊びについていけなくなってしまうということもあります。

感覚過敏であるため

発達障害の子供の多くには様々な感覚がとても敏感になる『感覚過敏』という特徴を持っている事があります。

耳が感覚過敏になると、お友達が沢山居る場所ではウルサイと感じたり、複数の会話や物音が同時に耳に入ってしまい混乱したりイライラする事があります。

目が感覚過敏になると、沢山のお友達が動き回っている様子を見て疲れてしまったりストレスを感じている事があります。

このように何らかの感覚が過敏になると、その強い刺激から逃れるために、お友達から離れた静かな場所や、リラックスできる落ち着く場所に避難しているということもあります。

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自閉症や発達障害の感覚過敏とは| 発達障害-自閉症.net

大人とは遊べるという場合

同年代のお友達と遊ぶことが難しい子供でも、大人とは遊べると言う事も多いと思います。
これは大人はその子に合わせて遊ぶことが出来たり、子供の興味を引くような声かけや動作を行えるからです。

特に、障害を持っている子供の場合、関わる大人が両親や祖父母などの家族であったり、園や学校の先生だということが多いです。これらの人は子供の障害の特性をよく理解しているので、子供の好きな事や得意なことで遊んだり、難しい事や苦手な事は回避したりフォローしているからです。

しかし、大人と遊ぶ中でコミュニケーション方法を学んでいくことが出来れば、同年代のお友達と関わる練習やきっかけを掴むチャンスにもなります。

対処方法や支援方法

同年代のお友達と適切に関わることが困難な場合には、その子の特徴や苦手としている部分を理解して適切な対処や支援を行うことが重要になります。

お友達と関われない理由を探る

お友達と関わることが難しい場合には、その理由を探るのが一番重要になります。

子供の障害の特性から「コミュニケーションの問題」「相手の気持ちへの理解」「場の様子の共有が難しい」「適切な対人関係が取れない」「聴覚や視覚の過敏」などが考えられると思います。

また、お友達への興味があるのか、お友達と関わりたいけど関われないのか、関わり方がわからないのかなども分析すると対処方法も見えてくるでしょう。

関わりかたを教える

お友達と遊べない子供の中には、お友達と一緒に居たくても関わり方がわからないという場合も多く見られます。

そのような場合には大人が実際にお手本を見せたり、ソーシャルスキルトレーニングとして場面に応じたお友達との関わり方を教える必要があります。

お友達との関わり方には「いっしょに遊ぼう」などの声のかけ方や、場やおもちゃ等の道具の共有方法、悪口や嫌がる言葉を使わない、乱暴な行動や態度を取らない、自分勝手に行動をしないなど、子供が不得意とする部分を教えましょう。

同じ空間で過ごす

集団で活動している際や、お友達と一緒に行動する際には、直接の参加が出来なくても、同じ空間や場で過ごすということも重要になります。

同じ空間で過ごすことで場や活動の共有が行えるだけでなく、お友達や周囲の人への意識の向上にも繋がります。

また、一緒に活動することが難しくても、お友達が行っている事を眺めるだけで対人関係への関心を強めることが出来るほか、沢山の刺激を得ることが出来るでしょう。

少人数でグループ行う

対人関係が苦手な場合、人が沢山居る場所で活動をしたり、大人数のグループでは混乱してしまう事もあります。

そのような際には少人数のグループで行ったり、仲の良いお友達と2人で一組として、落ち着いてグループ活動が出来るようにしましょう。

興味や関心を示す活動を行う

本人が興味や関心を示す活動や遊びをお友達と行い、グループ活動を通して関係を作る方法も効果があります。本人が好きな活動であれば、お友達と一緒でも自主的に活動を行え、率先して参加することが出来ると思います。

また、自分の知識をお友達に共有したり、お手本を行う係りなどをお願いすることで、お友達とのコミュニケーションを取るきっかけにもなります。

仲の良いお友達とグループを作る

学校などでグループ活動を行う際には、仲の良いお友達と同じグループで活動することも重要です。中の良いお友達なら会話やコミュニケーションを多く取ることも出来ます。

逆に苦手な子供や、あまり面識のない子供がいると、緊張してしまったりストレスを感じてしまう事もあります。

グループ内には仲の良いお友達以外にも、本人に好意的なお友達、面倒見の良いお友達、ムードメーカー、落ち着いている子など、相性の良さそうな子供を配置するのも良いでしょう。

本人が出来る事を取り入れる

お友達やグループで活動する際に、本人が自信を持って行えることを取り入れるのも方法の一つです。また、本人にグループ内での役割を作ってあげることも効果が有ります。

協力するゲームや活動を行う

グループで活動をする際には、チームで協力して行う遊びや、協力をしないと達成できないゲームなどを行う事も効果的です。

一人でも行える活動だとグループとして活動をしても、結局一人で行っているということもあります。しかし、ルール上協力しないと目標が達成できない遊びやゲームにすると、お友達やグループ内のメンバーとの関係やコミュニケーションが生まれます。

お友達の名前や顔を覚える

お友達の名前や顔を覚えるのが難しいため、お友達との関わりが少ないということもあります。

そのような場合には、始まりの会での出席を取る係りを行ったり、配布物を配る係りなどを任せるという方法もあります。

ただ単に名前と顔を覚えるのは難しいと思いますが、活動を通してならお友達の表情や特徴などを掴みやすいと思います。お友達の名前を覚えるのが難しい場合には、お友達に名札を付けてもらったり、名前と顔写真入りのネームカードを使うという方法もあります。

ストレスを感じた際の対処方法を教える

お友達と活動をしている際にイライラしてしまったり、ストレスを感じることも多いと思います。イライラしてしまうと、お友達との適切なコミュニケーションが難しくなるばかりでなく、お友達に手が出てしまったりパニックに繋がる事もあります。

ストレスを感じてしまった場合には、部屋の隅に移動をしたり、クールダウンが出来る場所に避難するなど、子供の特徴に合わせた対処方法を教える必要があります。場合によっては先生や周囲の大人に助けを求めたりすることも必要になると思います。

また、クールダウンが終わったら、自分のペースで再度お友達の輪の中に入る方法なども教えましょう。

お友達と一緒に居ることが苦痛な場合には、必要なときだけでも一緒に居ることが出来るような対処法を薦めてみると良いでしょう。

まとめ

発達障害を持つ子供がお友達と遊んだり適切な関係を築くのが難しいのには、様々な理由があります。また、一人で居るから一人が好きなのではなく、お友達と遊びたいけど関わり方がわからないから離れた場所に居るということもあります。

年齢の小さいうちは一人で居ることを多く目にすると思いますが、成長するにしたがい多くのことを学ぶので、いつの間にかお友達の輪の中に入れたり、一緒に遊ぶことが出来たという事もあります。

大切なのは子供の気持ちになり、どの様な理由で一人で居るのかを見極めて、適切な対処や支援を行うことが必要になります。

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