発達障害の子供が集中できない場合の対処方法

 

発達障害の子供が集中できない場合の対処方法

自閉症などの発達に遅れのある子供は興味があることにはとても集中しますが、勉強や作業など気が乗らないものに対して集中するのがとても難しい事があります。

特にADHD(注意欠陥・多動性障害)の子供の場合には、その特徴から集中が出来ないこともあります。

発達に遅れのある子供が物事に集中できないのには様々な理由があります。ここではその理由と主な対処方法を紹介します。

なお、ここにある方法は発達障害だけでなく、多くの子供や大人にも利用できる内容なので、様々な機会に使ってもらえればと思います。

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発達に遅れのある子供が物事に集中できない理由と対処方法

発達に遅れのある子供はその特徴や特性から、様々な理由のため物事に対して集中するのが難しくなります。
ここでは集中できない主な理由とその対処方法を紹介します。

一人だけの空間を作る

周囲の人が気になったり、目に入った人や物に対して注意が向いてしまうような場合には、一人だけの空間を作ると良いでしょう。

基本的には周囲の音が入ってこない個室などがベストですが、個室を用意するのが難しい場合にはパーティションで区切ったり、ついたてなどを立てて周囲からの情報をシャットダウンできるようにします。

パーティションやついたてで区切る場合には、前面と左右を区切り視界に何も入らないようにすると、目に付いたものに気を取られるということも少なくなります。

静かな状態を作る

音などに気をとられて集中できない場合や、聴覚過敏などで音に敏感な場合は個室などの静かな部屋を用意したり、周囲に人が居ない状況や、音を発する物を取り除いた環境を用意してあげましょう。

特別な部屋などを用意することができない場合には、イヤーマフや耳栓などで外部からの音を除去したり、ノイズキャンセリング機能の付いたイヤホンやヘッドホンをすると効果があります。

逆に無音の環境だと落ち着かない場合には、雨音や風音、街中の音などのホワイトノイズを流すと集中できる事があります。

ホワイトノイズに関しては「雨音」「風音」「焚き火の音」「カフェの音」などを適度な音量で流してくれるネットサービスや、YouTubeに音源がアップロードされているのでその子に合った音を試してみてください。

気になるものを隠す

集中して物事に取り組もうとしても、気になる物や興味を引く物などがあると、集中するのが難しくなってしまいます。

そのため、気になる物や視界に入るものなどは事前に隠したり、視界に入らない場所に移動しましょう。

学校などでは視界に入る掲示物を外したり、外が気になる場合には窓にカーテンを閉める、窓に背を向けて行うなどの対応を取ります。

学校や塾など複数人で勉強などを行う場合には、苦手な子や好きな子などの席の配置にも注意を配り、子供が集中して取り組めるようにします。

視覚の過敏などで光が気になってしまう場合には、光を反射するテレビ画面やガラスの向きに注意をしたり、室内の光量や直射日光などが入らないように注意をしましょう。

見通しをつける

集中して物事を行わせるにしても、見通しをつけてあげないと子供も不安になります。特に自閉症などの発達障害の子供は見通しが持てないと、不安やストレスを感じたり混乱してパニックにつながることもあります。

勉強や作業に取り組ませる前に、行うこと、何のためにするのか、どれくらいやるのかなどを説明し見通しをつけます。

課題の内容や作業のやり方などがわからないと、理解するのに労力を使ってしまい集中できないということも有るので、作業内容や手順なども教えて理解させ見通しをつけてあげましょう。

終わりを設定する

勉強や作業などを集中して行おうとしても、終わりが見えないといつまでやれば良いのかわからず不安になります。

勉強や作業や課題を集中して行わせる際には、事前に終わりの条件を説明し子供に理解させ納得してもらう事が重要になります。

終わりの設定はやる物事によって変わってくると思いますが、何分間などの時間、何問や何ページなどの問題数やページ数、何個作るなどの個数で明確に示しましょう。

また、最初は終わりの設定を緩くし、設定した時間や個数を集中して行えるようになったら、徐々に時間や個数を増やし集中できる幅を長くしていくと子供の能力を伸ばすことにもつながります。

終わりの条件も途中で忘れてしまうこともあるので、目に入る位置に終わりの条件を示す、カウントダウンのタイマーを置く、物を並べ行うごとに減らしていくなど、視覚からも終わりがわかりやすいようにすると効果があります。

複数の事や複雑なことを行わせない

複数の事を同時に実行したり、複雑な事に取り組むのは発達障害の子供にとってはとても困難です。特に集中してやらせたいときには、イライラやストレスが溜まり逆効果になってしまうこともあります。

集中して行わせたいときには1つの事が終わったら次の事に進ませたり、複雑な作業などを分解し比較的簡単な作業を1つ1つ行ってもらうようにしましょう。

また、子供本人のレベルにあった課題を提示したり、その日の様子で普段行っている課題で集中するのが難しそうな場合には、レベルを下げたり時間や個数を少なくするなどの対処も必要です。

集中できる時間を細かく設定する

子供が長時間集中できない場合には、集中する時間を細かく設定する事も重要です。

1時間集中するのは大人でも難しいと思います。しかし、20分間を3回に分ければそれぞれの時間は短くなるので集中する事もずっと容易になるでしょう。

このように長い時間ではなく子供が無理なく集中できる時間にするのも必要です。

単調にならないようにする

授業などの場合には比較的長い時間集中しなくてはいけませんが、長時間集中するのは大人でも難しいものです。

そのため、長時間の場合には読む、書く、考える、話をする、意見を聞くなどを取りれて、内容が単調にならないようにする工夫も必要です。

また、途中に小休止を入れたり、小話を挟む、ストレッチや立ち歩いてよい時間を作るなども場合によっては取り入れましょう。

子供がぼーっとしていたり集中力が切れているよう様子が見られた場合には、声をかけて集中を促したり、課題や内容自体を別のものに切り替えるといった事も行いましょう。

事前に体を動かす

多動の特徴を持っていたり、エネルギーが有り余っている子の場合には、いきなり集中して勉強や作業を行えと言っても難しいものがあります。

このような子の場合は事前に体を動かしてエネルギーを使ったり、ストレスを発散させると効果があります。

実際に多動の特徴がある子の場合にはバランスボールやトランポリンを10分ほど楽しんでもらうと、椅子に座り集中して作業を行える事が多いです。

特別支援学校でもエネルギーが有り余っている子は、授業の前に校庭をランニングさせて落ち着かせてから授業に取り組むという方法を行っている事もあります。

好きなことや興味を持ったものを取り入れる

集中して物事に取り組ませるときは、好きなことや興味を持っていることを取り入れると、子供も集中して行える事が多くなります。

電車などが好きな子の場合には、電車や鉄道などを取り入れた工作や勉強を行ったり、好きなキャラクターのノートやドリルなどを使うと良いです。

課題を選んでもらう

複数の課題がある場合には子供本人に課題を選択してもらうと良いでしょう。
こちらが課題を提示しても子供も気が乗るときと乗らないときも有るかと思います。そのため課題も似たようなものではなく、「勉強や学習系」「工作や創作系」「運動やトレーニング系」など別の系統の数パターンを用意してあげると良いでしょう。

ご褒美を作る

集中して取り組めた場合にはご褒美を用意したり、ポイントやシールなどを与える方法もあります。

課題や作業が終わったら「おやつがもらえる」といったものや、「好きなことができる」「遊んでよい」などのご褒美を設定する事で、子供本人のやる気にもつながると思います。

毎回ご褒美を用意するのが難しい場合には、ポイント制にしたりポイントカードにシールを貼ってあげるという方法にし、ポイントやシールが溜まったらご褒美をあげるようにしましょう。

また、具体的なご褒美だけでなくほめてあげる事も重要で、ほめられる事により自分への自身や達成感や満足感を高めることにもつながります。

まとめ

子供が物事に集中できないのには、何かの理由があります。まずはその原因を見つけて、対処を行うことが重要です。

勉強や作業など気が向かない事に対して集中するのは大人でも困難です。物事に集中させるのも、子供に無理のない範囲で行いましょう。

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