指示が理解できなかったり、指示内容が伝わらない理由

   2018/08/22

指示が理解できなかったり、指示内容が伝わらない理由

発達に遅れのある子どもに作業や課題を行う際に指示を出しても、なかなか動こうとしなかったり、全く別のことをやったりしてしまうという場合があります。

これは子供が怠けたりふざけたりしているわけでなく、指示が理解できていなかったり、正しく伝わっていないことが原因である事も多いです。

指示した内容に対してしっかりと話を聞いてうなづいている場合でも、実際には言っていることを理解していなかったり、理解した内容が全く違うということがあります。

では実際にどの様な理由から、指示が伝わらなかったり、理解できない事があるのか調べてみました。

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指示が理解できなかったり伝わらない理由

発達障害など発達に遅れのある子どもは、その特徴や特性などから様々な理由により指示の理解が難しい場合があります。

指示を的確に出す

発達に遅れのある子どもは、複雑な事、あいまいな表現、行間を読む事が苦手です。また、長い指示だと途中までしか覚えることができなかったり、前半を忘れてしまうということもあります。

分かりやすいだろうと思い、指示の内容を具体的に細かく話しても、混乱してしまい逆効果になる事もあります。

指示を出す場合には短く的確な指示を出す必要があり、あいまいな表現を使わないことが重要になります。

例えば「部屋を綺麗にしなさい」と言われても綺麗がどの程度か分からないといった事もあります。このような際には「脱いだ服をたたみなさい」「マンガを本棚にしまいなさい」「落ちてるお菓子の袋をゴミ箱に入れなさい」など具体的に伝えましょう。

何かを持ってきて欲しい場合には「5個持ってきて」というように個数を伝えたり、「ちょっと待ってて」ではなく「5分待って」など具体的に数字などを使うと理解がしやすくなります。

一度の複数の指示は出さない

一度のたくさんのことを理解したり覚えることが苦手という場合も多く見られます。

同時に複数のことを指示してしまうと、指示を忘れたり、内容がごちゃ混ぜになったり、どちらを優先すべきかなどで混乱してしまう事もあるので、指示をする際には1つ1つ分けて出し、1個の指示が完結したら次の指示をだすようにしましょう。

指示の内容を復唱させる

指示を受けた際には内容を復唱させて、覚える方法もあります。自分で指示された内容を復唱することで、声かけ確認としても意識することが出来ます。

ただ単に復唱させるだけでなく、意味を理解しているか「何を指示されたのか」「何をするべきか」を確認することも重要になります。

復唱にはレストランなどで受けた注文を繰り返す店員さんのように、指示を出した人に確認の意味で復唱の内容を確認してもらう意味としても利用できます。

理解をしているか確認をする

指示を復唱して自分でメモなどを書いても、途中までしか意味を理解していなかったり、全く別の理解をしているという事があります。

そのような場合には具体的にどの様な指示をされたのか本人に確認をしたり、これから行う事の手順を本人に説明してもらい、実際に理解が出来ているかを確認する必要もあります。

言葉での指示と文字での指示を行う

発達障害の子供は言葉だけで声をかけられても、とっさに理解するのが難しかったり、直ぐに忘れてしまうということがあります。視覚優位という特徴から耳で聴こえた情報よりも、目で見た情報の方が理解しやすいという特徴もあります。

そのため、指示を行う際には言葉で話すと共に、文字や図などを書いて指示を行うと頭に入りやすくなります。

教室などの場合は指示したことを黒板に書いたり、指示の内容をノートやメモに書く方法でも効果があります。

目に見えるものに指示内容を書いておくことで、途中で指示内容を忘れてしまっても、見返して思い出すという効果もあります。

本人にメモを取らせる

指示をする際には本人にメモを取らせる方法も効果があります。自分からメモを取ることで指示の内容を理解することにも繋がりますし、指示の内容を忘れてしまっても後から見返す事もできます。

指示された内容や重要な事を忘れないようにメモを取ることは、社会に出てからも必要となる行動です。必要な事は書いて覚える事を、子供のうちから慣れさせて習慣付けると良いでしょう。

絵カードや手順書を持たせる

言葉や文字での指示でも理解が難しかったり、忘れてしまう事が多い場合には、その目的に合った絵カードを用意して持たせるといった方法があります。

指示した内容が複雑であったり、複数の手順がある場合などには、作業の順番が書かれた手順書を持たせる方法もあります。

例えば「部屋の掃除をしなさい」という指示をした際に、部屋の掃除といってもどのようにやれば良いのか分からないといったことが有ります。そのような場合に「1番:玩具を玩具箱にしまう」「2番:マンガを本棚に入れる」「3番:脱ぎ散らかした服をたたむ」「4番:ゴミをゴミ箱に入れる」「5番:掃除機をかける」といったようなものになります。

手順書がある事で指示された内容を忘れないだけでなく、作業方法や順番も理解し効率よく行う事にも繋がります。

指示を忘れた場合の対処法を教える

指示を忘れないためにメモなどを取っても、内容を忘れてしまったり、何処で何をすれば良いのかが分からないといった事もあります。そのような『指示を忘れてしまった場合』や『何をすれば良いのか分からない』場合の対処方法を教える必要も重要になります。

対処方法には指示を出した人に再度確認や質問をしたり、お友達や近くの先生などに助けを求めるといった方法があります。メモなどに内容を書いている場合には「メモを見てごらん」「黒板に書いてあるから見て」などといった声かけでも良いでしょう。

声での指示ははっきりと話す

発達障害の子供は耳からの情報の取得が苦手であったり、情報が入っても記憶に残りにくいという特徴があります。

また、聴覚過敏や聴覚鈍磨などから、特定の音や声が苦手であったり、聞き取り難いということもあります。

そのため、言葉で指示を出す場合には「ゆっくり」「はっきり」「しっかり」した声で、短く伝えることが効果的です。声の大きさも子供本人に十分聞こえる大きさで、なおかつ過敏などに配慮してあげましょう。

指示を出す側の注意

まずは、子供に指示を正しく伝えることが重要になります。指示を正しく伝えるためには相手に聞き取りやすい大きさの声で、はっきりとメリハリをつけて話すことが重要です。

教室などで全体に指示を出す場合、自分にも言われているということが理解できない場合があります。そのような場合には全体に指示を出した後に、個別に話しかけて指示を確認させましょう。

話す際には子供の正面に立って話す必要もあります。少しでも子供の視線から外れてしまうと、指示を出している人を認識しなかったり、自分に言われているのでは無いと思ってしまう事もあります。また、話しかける前に「〇〇君」「〇〇さん」など名前を呼ぶことや、肩などを叩いて意識させ、自分に話しかけているのだと理解させる事も重要です。

まとめ

子供が指示の内容を指示されたことが出来ないのには「指示を聞いていない」「指示を理解していない」「指示内容を忘れてしまう」「内容が複雑」など様々な理由があります。

まずは子供の特徴や様子などから、何が苦手か、どの部分につまづいているかに気付いてあげ、子供本人が理解しやすい方法や対処が容易な解決方法を提案してあげることです。

指示を理解できる場合と出来ない場合の違いなどにも着目すると、的確な指示の与え方のよい方法が見つかるかも知れません。

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