自閉症や発達障害の療育方法とその種類

   2017/08/05

自閉症や発達障害の療育方法とその種類

自閉症などの発達障害を持つ子供は、様々な特性や特徴、得意不得意な分野を持っています。その中でも問題となる行動・特性・不得意な分野を緩和し、社会に出るために1つでも多くのことを学んで習得する必要が有ります。
そのために行われる様々な療育方法を調べてまとめてみました。

療育とは

療育とは主に障害を持っていたり学習や身体発達の遅れを持つ子供に対して行われる、医療と保育または医療と教育をあわせた言葉です。

療育には学習、言葉、身体機能の維持向上、日常生活能力の向上、コミュニケーション能力の向上など様々な種類のものが有ります。

基本的には子供一人一人が自立して社会生活をおくるために必要な事や足りないことを克服していくことが療育となります。

療育方法の種類

療育の方法や種類は子供により様々ありますが、代表的な療育方法を調べてまとめてみました。


療育を行う場所

児童発達支援

児童発達支援とは児童福祉法の元で都道府県および特定の市町村より認可を受けて行われる、障害を持つ未就学の子供を対象とした通所による療育事業です。
児童発達支援では、日常生活の基本的な訓練などを行います。

児童発達支援には「児童発達支援センター」と「児童発達支援事業」があり、「児童発達支援センター」では医療行為を行える「医療型」とそれ以外の「福祉型」の2種類が有ります。

「児童発達支援センター」は地域の市町村などが主体となっている場合が多く、専門家や療法士の配置、相談援助、地域の児童発達支援事業所への指導など地域の障害児の療育活動における中核業務を行っています。

「児童発達支援事業」は未就学児童が通所することで、子供に対し療育を行うことを目的としています。

関連ページ
児童発達支援事業とは | 発達障害-自閉症.net

放課後等デイサービス

放課後等デイサービスとは児童福祉法の元で都道府県および特定の市町村より認可を受けて行われる、障害を持つ就学時の子供を対象とした通所施設です。

主に特別支援学校や通常の小学校から高等学校在学中の児童に対し、学校の放課後や学校の休業日に、余暇を過ごす場所の提供や療育を行う場所としての目的を持ちます。

関連ページ
放課後等デイサービスとは | 発達障害-自閉症.net

療育センター

療育センターとは様々な障害を持った子供のための総合的な医療および療育相談機関です。
主に病院や地域の市町村を主体とした社会福祉法人が運営している場合が多く、地域の療育の中心的な位置づけになります。

療育センターでは様々な専門家を配置しており、医療や治療行為、リハビリテーション、生活指導、援助相談など幅広く行っています。
サービスも外来、リハビリ、入所、短期入所、在宅援助など幅広く執り行っています。

学習塾

学習塾にの中には発達障害や学習障害専門の教室を開いている場所も有ります。
大手の塾では発達障害専門のプログラムを組んでいたり、個人経営の塾でも個別にその子にあわせた学習を行う場所も有ります。

主な療育方法

ソーシャルスキルトレーニング

ソーシャルスキルトレーニング (Social Skills Training:SST)とは、ソーシャル・スキル(社会技能)と呼ばれる、社会での対人関係や集団関係を適切に行い社会に適応する能力を訓練する方法です。

ソーシャルスキルトレーニングには会話の方法や、場の雰囲気や空気の読み方、振る舞い方、表情や感情の汲み取り方など様々な面に及びます。

PECS(ペクス)

PECS(Picture Exchange Communication System)とは、絵カードを使用し相手とカードをやり取りして意思の伝達を行ったり、カードを並べることで文章を作りコミュニケーションを行う方法です。

TEACCH(ティーチ)

TEACCH(Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped Children)とは、アメリカ・ノースカロライナ州立大学で行われている自閉症者やその家族に対して行われる包括的な支援方法を指します。

TEACCHでは生活環境を一人一人に合わせ構造化(自閉症者が理解と行動をしやすい枠組みを作ること)したり、絵カードや文字カードなどでのコミュニケーション方法を指導し、子供の社会適応力を向上させるプログラムです。

マカトン法

マカトン法とは聴覚障害と知的障害を持つ人を対象に作られたコミュニケーション方法で、「言葉と手の動きで行うサイン」または「言葉と単純な線画の絵カード」と用いて行います。

非常にシンプルなコミュニケーション方法で、知的障害者以外にも自閉症者やダウン症患者でも良く使用されています。

関連ページ
マカトン法とマカトンサインとは | 発達障害-自閉症.net

言語聴覚療法

言語聴覚療法とは、言語機能や聴覚機能に障害がある人に対し「声の発声」「言語機能」「聴覚機能」「嚥下機能(物を飲み込む)」「摂食訓練」などを行うものです。声の発声だけでなく、耳の聞こえ方や、飲食における障害、コミュニケーションの取り方などの指導や訓練を行います。

言語聴覚療法は言語聴覚士(ST)と呼ばれる、言語と聴覚に特化したリハビリテーションの専門職が行います。

作業療法

作業療法とは、身体や精神に障害の有る人に対し手芸や工作などの作業を行うことで、日常生活動作(ADL)、手段的日常生活動作(IADL)、福祉用具の装着と使用などにおける身体の運動機能や脳機能の向上を目的としたリハビリテーションです。

作業療法では作業自体のほか「仕事」「遊び」「休息」「日課」「趣味」などの項目も療法内容に含みます。

作業療法は作業療法士(OT)と呼ばれる、作業療法に特化したリハビリテーション
の専門職が行います。

理学療法

理学療法とは運動機能が著しく低下したり身体に障害の有る人に対し、運動能力の基礎動作の回復を図る事を目的としたリハビリテーションです。
理学療法では体を実際に動かす運動療法、低周波治療機器の使用やマッサージや温熱などを行う物理療法、動作訓練の3つを行います。

作業療法は理学療法士(PT)と呼ばれる、理学療法に特化したリハビリテーションの専門職が行います。

音楽療法

音楽療法とは、音楽を聴いたり演奏することで心身の健康の回復や向上を目的とした療育方法です。
自閉症においては好きな音楽やメロディを聴かせたり演奏させたりすることにより、ストレスの発散やリラックス効果を望め、癲癇を抑えたりパニックを静める効果が有ります。

感覚統合療法

感覚統合療法とは、視覚、触覚、手足の感覚、位置、スピード、傾きなど体が感じ取った様々な感覚情報を適切に整理して統合させるための療法です。
自閉症などの発達障害の子供は感覚の受け取り方が様々なため、子供それぞれに合わせて適切な感覚の感じ方を指導します。

感覚過敏の場合や体の動きがぎこちないなどの場合は感覚統合療法で効果を望むことが出来ます。

関連ページ
自閉症の感覚過敏とは| 発達障害-自閉症.net

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自閉症の感覚鈍麻とは| 発達障害-自閉症.net

トランポリン

トランポリンを使った療法では、体を動かすことによる運動機能の強化、ストレスの発散、体幹機能の強化などの効果が望めます。
また、音楽に合わせて飛んだり、反発の有る不安定な足場で跳びはねるため感覚統合訓練としてもトランポリンは効果的です。

トランポリンも自宅に置けるような小型のものから、体操教室で使うような大型のものまで有ります。地域によっては障害児向けのトランポリン教室も行っており、トランポリン専門の講師から指導を受ける事もできます。

スイミング・水泳教室

スイミングや水泳の療法では、体を動かして運動機能の強化を望むことができます。また、水中であるため筋力が少ない子供でも無理なく全身運動を行うことができます。

自閉症の子供は特に水を好むという特徴があるため、嫌がることなく楽しんで活動をしてくれると思います。

関連ページ
自閉症は水が好き | 発達障害-自閉症.net

一般の水泳教室に入れるのはちょっと・・・という場合でも、スポーツ施設やスイミングスクールによっては障害児を中心とした教室が設定されているところも有るので問い合わせをしてみると良いでしょう。

絵画教室・お絵かき教室

絵を描くのが好きな子供の場合は、障害者の絵画教室などに通うのも良いと思います。
逆にペンを持つのが苦手だったりする場合でも、ペンや鉛筆を持つ練習になったり、腕や手首のスムーズな動かし方を学ぶことが出来ます。

また、色彩や人物・風景などを見る感覚を鍛える事もでき、豊かな感性を育む事が出来ます。

遊戯療法

遊戯療法とは、プレイセラピーとも呼ばれ遊びの中で子供とコミュニケーションをとり、子供の様子を観察したり、遊びを通じて指導を行う方法です。

箱庭療法

箱庭療法とは、遊戯療法から派生した心理療法の一つで、用意された箱の中に、対象となる子供が自由に玩具や装飾品を入れたり飾ったりする方法です。セラピストは箱庭に飾られた玩具などの位置や様子などで、子供の心理状況を把握し適切な指導を行ったり、その様子を他の療育に役立たせることが出来ます。

認知行動療法

認知行動療法(Cognitive behavioral therapy:CBT)とは、心理療法の一つである行動療法から思考や認知などの部分に特化した方法で、思っていることや感じていることに問題が有った場合に、その理由を分析し改善や良い方向へ導くために利用されます。

認知行動療法は自閉症以外にも、アスペルガー症候群やADHDの子供でも利用される事が有ります。

RDI(対人関係発達指導法)

RDI(Relationship Development Intervention)とは、対人関係発達指導法とも呼ばれ、自閉症者やアスペルガー症候群などの発達障害者が、定型発達者(健常者)と同様の段階を経て対人関係を発達させるための療育方法です。

ABA(応用行動分析学)

ABA(Applied Behavior Analysis)とは日本語で応用行動分析学と呼ばれ、人間の行動を分析することで、行動の目的と予測を行うことが出来るため、様々な問題解決に利用されています。
自閉症や発達障害児においては問題行動の改善や、より良い行動へ導く指導に利用されています。

応用行動分析学は療育方法と言うよりも、療育を行う際に子供の行動の様子や目的を調べ、行動の予測や問題行動の制御を行なうために利用されています。

まとめ

療育方法はこのページで紹介したもの以外にも沢山の方法が有ります。
障害の特性や程度は子供によって様々であるため、一概にどの療育方法が良い悪いとは言い切れません。

一番大事なことは「子供に今足りない事」「今後の生活をおくる上で必要な事」を、長い目で無理なく修得できる療育方法を選ぶことが必要です。

また、療育を行っても結果が出るのは何ヶ月、場合によっては何年後かも知れません。そのため子供に負担をかけることなく無理の無い療育方法を取り入れて行う事が重要です。

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