自閉症や発達障害と早期療育の重要性

   2018/03/18

自閉症や発達障害と早期療育の重要性

自閉症児や発達障害児への支援として耳にすることの多い『早期療育』という言葉。早期療育と言われてもどのようなことか分かりにくいと思います。

実際に早期療育とはどのようなものか、早期療育の重要性やメリット、どこで行えばよいのかなどを調べてみました。

療育とは

療育とは「治療」と「教育」または「医療」と「保育」などを掛け合わせた言葉で、自閉症や発達障害などの障害を持った子供に対して、日常生活をおくるため、自立して社会に出る際に必要な物事を習得させる指導です。

療育の方法としては大きく分けて、一人一人それぞれに必要な事を1対1で指導する「個別療育」と、集団活動の中でルールやマナー、コミュニケーションなどを学ぶ「集団療育」があります。

主な個別療育には「お箸の持ち方」「ボタンのかけ方」など日常生活に必要な動作、「トランポリンやバランスボール」「体幹トレーニング」などの運動、「言葉や会話」「足し算引き算」「文字書き」「時計の読み方」などの学習などがあります。

集団療育には集団での活動を通して、「交流やコミュニケーションの理解」「順番やルールを守る」「集団で同じ行動を取る」「同じ場所で活動をする」「他人を意識する」などがあります。

基本的には子供が社会に出るために必要となる事や、現在苦手としていることを強化する目的があります。

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早期療育とは

早期療育とは障害を持った子供に対して必要とされる療育を早期から行うというものです。早期の時期に明確な定義はありませんが、幼稚園や保育園に入所してそこでの療育を行う前の、3歳ごろまでに療育を行うことを指すのが一般的なようです。

早期療育を行う意味

早期療育を行う意味やメリットには様々なものがあります。

心身の発達が著しい乳幼児期間に行える

乳幼児期(乳児期:0歳から1歳まで。幼児期:満1歳から小学校入学前まで。)の時期は、心身の発達が著しく、生きていくうえで必要となる基本的なことを大きく学ぶ時期になります。

乳幼児期には父親や母親など家族間での信頼感や安心感を学び、徐々に周囲の人達とのかかわりを増やします。また、興味や関心の対象が広がり、物事への認知や情緒を発展していきます。友達や兄弟などの遊びを通してルールやマナー、道徳性なども学びます。

生活に関しては、食事、排泄、睡眠などの生活リズムの形成や、衣服の着脱や入浴など生活に必要な物事を学ぶ期間でもあります。

体においても骨格や筋力が発達し、自分で体を動かし行動できる時期になります。

乳幼児期にはこれら生活する上で必要な事を学ぶ大事な期間となり、その間に療育を行うことで多くのことを習得したり、苦手な分野をフォローすることが出来ます。

学ぶ機会や時間を増やせる

自閉症や発達障害の子供は物事を習得するのに非常に時間がかかります。通常の子であれば1回で覚えることを100回やってやっと覚えたり、1日で覚えられることを何ヶ月もかけることもあります。

そのため早くから療育を行うと、学ぶ期間や学ぶ回数を多く重ねることが出来、物事への習得につながりやすくなります。さらには早い段階から療育を行うことで、成長に合わせた段階を踏んで徐々に行えるというメリットもあります。

苦手な分野を伸ばせる

自閉症や発達障害の子供は健常な子供に比べて、苦手な分野が多いことが知られています。苦手な分野と言ってももちろん人それぞれ異なりますが、代表的なものには『コミュニケーションが苦手』『体の動きがぎこちない』『言葉が話せない』などがあります。

早期の療育を行うことで、療育センターの医療関係者や各種療法士など専門家に見てもらい、苦手な分野を補ったり伸ばす事が出来るようになります。

また、その子にあわせた療育プランを作ることができ、必要とされる部分を集中的にトレーニングすることが出来ます。

子供を客観的に見てもらえる

家庭内では子供をお母さんの目線やお父さんの目線でしか判断することが出来ません。特に母親としては無意識ながらわが子の障害が発達の遅れを認めたくないという事も有るでしょう。

外部の機関で療育を受けるということは、専門家から客観的に子供の様子を判断してもらえるだけでなく、何が出来るのか、何が不得意なのかを適切に見てもらえる事になります。また、療育機関の専門家は数多くの子供を見たり療育を行ったという経験を持っていることから、今後この子が何でつまづいてしまうか、何が必要になるかまでを判断して支援を行ってくれます。

特に未就学児の療育では厳しく指導をする事が多く、子供が泣き叫んでも頑として譲らないような支援をする事も多く、母親からは「厳ししぎる」「虐待では・・・」なんて声も聞こえることがあります。しかし、後に必要となる事を小さいうちから行っているので、幼稚園に入ったり小学校に入学する頃には「あの時厳しく指導してもらって助かりました」という話を受けることもあります。

また、子供も家の顔と外向きの顔を持っており、自宅では甘えてやらないようなことも外ではしっかりと行えるというようなこともあります。

保護者としてのメリット

保護者としてのメリットには「子供への接し方が学べる」「子供の発育を相談することが出来る」「子供と離れる時間が作れる」「他の保護者と情報交換が出来る」などがあります。

子供の接し方を学べる

毎日子供と生活をしていると、言う事を聞いてもらえなかったり、ワガママやパニックでストレスを抱えてしまう事も多いと思います。

そのような際に療育を行うことで、療育センターのスタッフや専門家が子供と接する様子を見て、「声のかけ方」「活動への誘い方」「注意の仕方」「褒め方」「怒り方」など、色々な事が学べ家庭内での実践にも参考になるはずです。

子供の発育を相談することが出来る

子供と毎日生活していると、発育だけでなく様々な心配や悩みを抱えてしまうと思います。そういった際に療育センターの専門家と相談することで、心配事を相談して悩みを解決したり、良い方向へと向かうアドバイスをもらうことが出来ます。

子供と離れる時間が作れる

乳幼児との生活だと家庭内でお母さんと子供2人きりの時間が長く、それが毎日続き様々なストレスや不安を抱える事も多いと思います。

療育センターなどに通うことで、保護者としても子供と離れる時間ができるので、自分の時間を作ることができ、気持ちのリセットを行うことが出来ます。

子供も母親と離れることで気持ちをリフレッシュしたり、普段の家庭とは違う環境で楽しみ、ストレスを発散することができると思います。

放課後等デイサービスの目的には、子供の余暇の提供や保護者支援も含まれており、保護者と子供が一時的に離れることで良い関係を築ける場合には療育も含めて利用するのも良いでしょう。

他の保護者と情報交換が出来る

療育センターに行くと他の利用者も多くおり、何度も通っているうちに自然と仲良くなったり、友達になったりする事も多く有ります。

他の保護者と知り合いになる事で、情報交換が行えたり、子供についての悩みなどもお互いに話し合う事もできます。

多くの保護者は自分の子供のために沢山の事を調べて多くの情報を持っています。そんな保護者同士で情報交換そ行うことで有意義な情報も多く聞けるでしょう。

また、療育センターで会う子供や保護者は近隣の地域の人であるため、今後幼稚園や保育園に入園したり、支援学校や支援クラスなどに進学した際にも再び会うことも多く有ります。

早期療育を行う施設

早期療育はどの様な場所で受ければよいのか、代表的な施設を紹介します。

なお、実際に利用する際には各市区町村の障害者支援課や児童福祉課などに相談を行いましょう。児童福祉法に基づく通所サービスなど(児童発達支援、放課後等デイサービス)などを利用する際の承認を行ったり、適切なサービスや施設の紹介をしてもらえることもあります。

児童発達支援

児童発達支援とは、未就学の子供を対象に、日常生活における指導、自立生活に必要な知識や技能の収録、集団生活への適応などの訓練を行う、児童福祉法に基づく通所サービスです。

児童発達支援には、福祉サービスを行う「福祉型児童発達支援」と、福祉サービスに合わせて治療を行う「医療型児童発達支援」があります。また、一般的な「児童発達支援事業所」と、地域の中核として幼稚園や保育園などへの連携や相談なども行う「児童発達支援センター」があります。

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児童発達支援事業とは| 発達障害-自閉症.net

放課後等デイサービス

放課後等デイサービスとは、特別支援学校や支援クラス、通常学校に通学している障害を持つ子供や、特別な支援が必要であると医者や専門家が判断した子供が利用できる療育サービスです。

放課後等デイサービスでは自立に向けて必要なことの訓練を行うほか、余暇の提供なども目的に含まれています。

放課後等デイサービスは事業所により、個別療育中心、集団療育中心、塾型式、運動やスポーツ中心など様々な形態を取っているので、利用前に自分の子どもが適した療育を受けることが出来るか見学や連絡を行うと良いでしょう。

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療育センター

療育センターは、地域の市区町村や社会福祉法人などが運営する、障害を持った子供に対して療育を行う施設の総称です。

療育センターは運営する団体や施設により内容が異なり、一般的には「児童発達支援センター」「児童発達支援事業所」「医療型児童発達支援」「放課後デイサービス」「福祉型障害児入所施設」「医療型障害児入所施設」の児童福祉法で定められているどれかの施設として登録されています。

医療機関

病院等の医療機関でも精神科や小児神経科などが有る場合、診察の一環などで自閉症や発達障害児の療育を行う場所もあります。身体機能の障害への療育はリハビリ科やリハビリテーション科のある病院がリハビリとして行うこともあります。

医療機関については施設により様々であるため、電話等で確認を行う必要があります。なお、療育を行う病院は非常に混んでおり、予約が取れても何ヶ月も先だという話を耳にする事が多いです。

民間の療育機関

学習塾やスポーツ教室など民間の企業でも自閉症や発達障害児への療育を行うところも有ります。近年、発達障害児や学習障害児が増えたことから、塾などでは発達障害児向けの教室を開いているところも有ります。

また、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、臨床心理士、音楽療法士などが個別に療育教室を開いていたり、スポーツインストラクターが体操教室やトランポリン教室などを開いている事もあります。

まとめ

早期療育とは早いうちから日常生活に必要な技能や知識を学ぶということになります。

療育は早いうちから行うとその分学ぶ期間を多く作れるます。また、基本的に学ぶことが3年遅くなると、遅れを取り戻すためには3年以上の年月を要します。遅れを作らないためにも子供が困っていることやできない事が見られた場合には療育を行うことをお勧めします。

なお、早期療育が必要と思っても、保護者が焦りすぎてしまうのも良くありません。子供の為を思って、あれもこれもと療育を行ってしまうと、子供本人の負担になるばかりでなく、子供も混乱してしまいます。

基本的には子供の事を第一に思い、無理なく楽しんで行えるような療育に取り組む必要があります。

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