自閉症の治療や改善をする方法

 

自閉症の治療や改善をする方法

自閉症を持つ子供の保護者や療育関係者にとって気になるのは『自閉症は治る事が有るのか』『自閉症は改善するのか』『自閉症の治療方法は有るのか』という事だと思います。

今現在医学的には自閉症は治ることは無いとされています。治ることが無いとされる理由は自閉症の原因や自閉症になる理由が完全に解明されていないからです。解明されていないものは何を根拠に『治った』『完治した』と結論を出すことが出来ません。

しかし、自閉症は治ることは無いとしても、様々な方法で経験を重ね学ぶことで、症状が緩和したり改善したりする事が有ります。ただしこれは自閉症という障害が緩和するわけではなく、多くの事を経験し自閉症の人が困難と感じることに対処する方法を身につけるという意味になります。

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自閉症とは

自閉症とは先天的な脳機能または中枢神経の障害により『コミュニケーションの困難』『社会性獲得の困難』『興味の範囲が狭く特定の物事にこだわる』という症状を特徴としています。

これら3つの症状により「意思の伝達が出来ない」「物事にこだわる」「予定の変更に対処が出来ない」「偏食がある」「他人や自分に危害を与える」などの様々な問題行動が見られます。

自閉症の原因は今現在特定はされていませんが、いくつかの遺伝子の影響によるものだと考えられています。

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自閉症の改善とは

自閉症の人は障害を持っていない健常者に比べ、様々な面において困難に対処が出来ないことや、許容範囲が狭いという特徴があります。

対処が困難な例では『適切な会話が難しい』『相手の気持ちを読み取るのが難しい』『細かい作業が苦手』『一定の場所にとどまるのが苦手』などが有ります。

許容範囲が狭いという例では『予定外のことへの対応』『聞こえる声量や音量』『刺激などの感覚』『様々な理由からのパニック』『物事へのこだわり』などが有ります。

自閉症としての症状の改善や緩和はこれらの問題への対処方法を学んだり、許容範囲を増やすことだと思っています。

自閉症の子供が問題方法を理解したり、様々なストレスへの許容範囲を増やすのは難しいかと思いますが、どんな子供でも成長するにつれ、ある程度はこれらを習得していくことが出来ていきます。

例えば生まれたばかりの赤ちゃんは、コミュニケーション方法が泣く事しか有りません。お母さんに「お腹が空いた」「暑い・寒い」などの意思を伝えることや、「うるさい」「ねむい」などのストレスも泣く事でしか伝えることが出来ません。しかし、成長するにつれ、視線や指差し、泣き声以外の難語など様々なコミュニケーション方法を習得しているはずです。

これは自閉症の子供も同じで(重度の麻痺や身体障害を持つ場合は例外が有りますが)、生まれてから全く成長が無い子供はいません。人により成長の速度の差は有ったり、学んだことの大小は有りますが、出来るようになった事は増えているはずです。

自閉症の子供は成長速度がマイペースで有るともいえます。健常者が1回で覚えることを100回やっても1000回やっても覚えることが出来ないかもしれませんし、健常者が1日で覚えることを1ヶ月経っても1年経っても出来ないかも知れません。しかし、1000回で出来なくても1001回目で出来たり、1年と1日目に出来ることもあるはずです。

ちょっとした事を覚えるのに何百回・何年とかかっても、一度学んでしまえばそれ以降の長い人生で生かしていくことが出来るようになるのです。

問題への対処方法の学び方

対応方法の学び方は日常生活、学校での勉強や集団生活、療育センターや放課後等デイサービスなどなどの施設での活動、遊びの中などの様々な経験で学習をする以外にはありません。

コミュニケーションが苦手な場合には言葉の練習や指差しなどで相手に気持ちや意思を伝える方法、不安を覚えたりパニックになった場合には自分からクールダウンする方法など、問題となる行動と対処方法は子供の特徴により人それぞれとなります。

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自閉症や発達障害の療育方法とその種類| 発達障害-自閉症.net

コミュニケーションが苦手な場合には言葉の練習や指差しなどで相手に気持ちや意思を伝える方法、不安を覚えたりパニックになった場合には自分からクールダウンする方法など、問題となる行動と対処方法は子供の特徴により人それぞれとなります。

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自閉症の問題行動の種類| 発達障害-自閉症.net

許容範囲の増やし方

不安やストレスへの許容範囲の増やし方としては、上記の問題への対処方法の学び方同様に様々な経験を得る事と、ストレスへの耐性をつけることが重要になります。

様々な面で対応方法が理解できると不安やストレスを自分で解消したり、周囲の人へ助けを求めることが出来るようになります。

ストレスへの耐性を付ける事は耐えられる範囲を増やすことに繋がります。
ストレスの耐性の例としては「手の感覚が敏感な子供に対し、くすぐる・押すなど様々な刺激を与える」「姿勢を正して座るのが苦手な子供に対し、時間を決めて正しい姿勢で座らせる」「賑やかな場所が苦手な場合にお友達の輪の仲に参加を試みる」などがあります。

苦手や嫌いなことでも回数を重ねたり時間を決めたりすることや、苦手な事への対処方法などを教えることで、苦手な部分に耐えられる時間や回数なども徐々に増えるようになります。子供も「前回はここまで大丈夫だった」「今回もここまでは我慢できる」「こう対処すれば大丈夫」など自信にも繋げることが出来ます。

私が経験した子供の例としては、聴覚の過敏や場所への不安などから人の多い街中やお店に行くのが出来ない子供がいましたが、仲の良いお友達と一緒に行動したり、ご褒美のおやつを買いに行くという名目で何度もお店に行くことで最終的には普通にお買い物が出来るようになった子供もいます。最初はお店に近寄るのを嫌がったり、お店の中でパニックになったりもしましたが、経験などを積むことで自信が付き徐々にストレスの許容範囲が広まった事例でもあります。

そして、一度成功してしまうと子供の自身が付くようで、別のお店や違うシチュエーションでもスムーズに行動できるようになります。

自分の苦手なことを行わせたり、自分のやりたいことを制止されるなど、ストレスをかけることは子供にとって大きな負担となります。ストレスをかけたことでパニックになったり問題行動などへと繋がってしまっては意味がありません。ストレスをかける練習は子供の様子を見ながら無理の無いように行うことが重要です。

改善を助ける道具

自閉症の改善方法としては、苦手な部分をカバーするツールを使うという方法もあります。

自閉症の人の改善を助ける道具は現在では沢山販売されています。例えば『絵カード』『イヤーマフ』『音声ボード』などです。道具に頼ることが自閉症の改善かと疑問に思う事もあるかと思いますが、「道具の使い道がわかる」「道具を使うことが出来る」「道具に頼ることが出来る」だけでも大きな成長である事に代りはありません。

健常者でも他人とのコミュニケーションに携帯電話やスマートフォンを使いますし、物事を覚える為にメモなどを使っているはずです。『自分の能力を引き上げる事』『自分ひとりでは困難な事』『自分の能力を超えた事』などにパソコンを使って様々な処理を行ったり、多くの物を運んだり長い距離を移動する為に車や電車などを利用しているのと同じ事になります。


改善を助ける道具の種類

自閉症などの人が苦手な部分を改善したりサポートしたりする代表的なツールには以下のようなものが有ります。

聴覚過敏
「耳栓」「イヤホン」「イヤーマフ」

コミュニケーション
「絵カード」「文字盤」「VOCA(音声出力会話補助装置)」「トーキングエイド(会話補助装置)」

時間やスケジュール
「予定表」「スケジュールボード」「時間の経過のわかりやすいタイマー」

食事
「エジソン箸」「介助・補助スプーン、フォーク」

環境を整える

自閉症や発達障害を持った人は、健常者が生活している空間だと様々な感覚から苦痛や不安を感じることや、様々なものが目に入り混乱する、物や位置などの理解が難しいなど、環境面で困難を抱えている場合もあります。そのような環境面で対応する方法に構造化やTEACCH(ティーチ)という考え方があります。

自閉症における構造化とは「時間の流れや物の順番や位置などを整理し、それぞれを関連付けて理解を容易にする合理的な配慮の事」を言います。例えばこれから行うことがわかりやすいように写真や絵カードとセットになった予定表や、行き先などが色分けされた案内図などが構造化にあたります。

TEACCH(ティーチ)とは自閉症を持った人が理解と行動を行いやすい生活環境の枠組みを作るというアメリカの支援方法です。

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薬物療法

気持ちを落ち着かせたりする目的で薬を使用した薬物療法もあります。薬物療法に利用する薬には『向精神薬』『抗うつ薬』『抗けいれん薬』『てんかんを抑える薬』『睡眠薬』などがあります。これらの薬物を使用する薬物療法には賛否両論がありますが、極度に落ち着かない場合、他人や自分に危害を与えてしまう場合、睡眠が取れない場合などは医者に相談等をすることで処方されることがあります。

私は医療関係者や薬剤師ではない為あまり詳しいことや具体的なことは書けませんが、薬を利用したほうが良いと思う場合には以下の事を考えています。

・癲癇(てんかん)の発作や痙攣を抑える場合。
・極度の偏食や不眠や便秘などで身体に影響が出てしまう場合。
・自傷行為や他害行為、物品などを破壊してしまう場合。
・学校や勉強の場で落ち着くことが出来ず、学習の機会を逃している場合。

薬物を利用する際には、必ず医師の診断の元に正しい使用方法と使用量を守ることを心がける必要があります。

また、薬物療法への心配事として「一度薬を使うと一生使い続けなければならない」と思うこともあると思いますが、今は子どもの状況や症状によって薬の量を減らしたり、使用を終わりにすることもあるようです。もちろんこれは対象の子どもの状態や、医師の判断によりますが、一生薬漬けになるということも少なくなってきているようです。

まとめ

自閉症や発達障害の子供でも成長するにつれて多くの事を学び理解することで、自分の能力として習得できるようになります。これは自閉症の子供の改善でもあります。健常児と比べて時間や回数はかかると思いますが必ず子供は成長します。

また、自分ひとりでは難しい事や不可能なことに対しては、対処法を学ぶ、様々な道具力を借りる、場合によっては他人に頼ることなどで解決できる事もあります。

自閉症や発達障害という障害自体を治す事は出来ませんが、自閉症や発達障害の子供がもつ様々な困難を改善することは出来るのです。

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