自閉症の問題行動の種類

   2017/04/23

自閉症の問題行動の種類

自閉症や発達障害の子供には、様々な特徴や特性が見られ、それらが日常生活をおくる上で支障をきたす場合に「問題行動」と呼ばれることが有ります。

問題行動には様々な種類が見られ、自分の思いや気持ちに係わるもの、自分や他人を傷つけてしまうもの、周囲に影響を与えるもの、一般道徳上好ましくない行為などが有ります。

問題行動が強くなり、通常の環境下での対応が非常に困難になった場合には『強度行動障害』と呼ばれるようになります。

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また問題行動の多くは自閉症や発達障害の二次障害として見られます。

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自閉症や障害児に見られる問題行動の種類

実際に自閉症の子供や発達障害の子供に多く見られる、問題行動の種類をまとめて見ました。


パニック

自分が対応できない状態に陥ってしまうと、何をしていいのか分からずパニックになってしまう子は多いと思います。パニックになる原因には『気持ちが切り替えられない』『苦手な物事を感じた』『納得できないことがあった』『思うように出来なかった』『注意された』など様々で、パニックになるという事は本人から何らかのメッセージでも有ります。

パニックの症状も『泣き叫ぶ』『大声を出す』『暴れる』『動けなくなる』『物などを壊す』『他人に危害を加える』『自分を傷つける』など人により様々です。

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こだわり

自閉症の人は変化に対応するのが難しく、一定の物事に安心する為、それにこだわるという強い特徴があります。こだわりが強くなると、その物事に納得できるまで次の行動をに切り替えるのができなくなるという事も有ります。

こだわりには「安心を得る為」「楽しさや心地よさを求める為」「ルーチン化した決まり事になっているため」など様々な理由があり、こだわりも人それぞれになります。

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暴言や悪口

暴言とは相手を傷つけるような乱暴な言葉であったり、その場にそぐわない言葉などを言います。知能指数の高い自閉症やアスペルガー症候群などの場合には、悪気は無くとも思ったことをそのまま言葉に出してしまう事も有ります。
主にイライラしているときや、相手の気を引きたい場合などに暴言を吐く事が多く見られます。

音声チックの一種である『汚言症』や『トゥレット障害(トゥレット症候群)』の症状を持っている場合、症状として汚い言葉や暴言を吐いてしまう事も有ります。

暴力

他人に危害を与える暴力は『他害行為』『他障行為』等と呼ばれることがあり、相手に怪我をさせてしまい、問題行動の中でも一番重要な項目になると思います。

発達障害の子供の暴力は相手を傷つけてやろうと思っていやることは少なく、イライラやしてストレスが溜まっている場合、何かを伝えようとしている場合、突発的な衝動により、相手の反応を見たい場合、などが多く見られます。

また、学校や他の施設ではいい子でも、家に帰ってくると母親や弟妹に暴力を振るうといった子供も居ます。

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他害・他傷・暴力行為の原因と対処法- 自閉症と発達障害の特徴・特性 | 発達障害-自閉症.net

自傷行為

自傷行為とは自分を傷つける行為で、手や腕を噛む、顔や頭を叩く、頭を壁や床にたたきつける、髪の毛を引っ張る、爪をむしるなどが多く見られます。

自傷行為の原因はストレス、パニック、刺激を得る為などで行っている事が多いです。一度自傷行為を行ってしまった為に、それがルーチン化していて自傷行為を行わなければならないと思い込んでいる場合も有ります。

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自傷行為の原因と対処法- 自閉症と発達障害の特徴・特性 | 発達障害-自閉症.net

髪の毛を引っ張る

髪の毛を引っ張る行為には自傷や感覚を得る為に自分の髪の毛を引っ張る場合や、ストレスなどから他人の髪の毛を引っ張ってしまう場合が有ります。また、さらさらした感覚やシャンプーの良い香りから髪の毛に興味を持って引っ張ってしまう事も有ります。

ストレスから頭皮などを抜いてしまう抜毛症などもあるので、極端に髪の毛を抜いたり、抜きすぎて頭皮が見えるほどハゲてしまった場合には専門家に見てもらう必要が有ります。

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自閉症が他人の髪の毛を引っ張る理由 | 発達障害-自閉症.net

破壊

ストレスやパニックにより、物を投げたり物にあたって壊してしまう事も有ります。パニックになると本人も我を忘れてしまうので、壁を蹴破ったり、タンスやテレビなど大きなものをなぎ倒してしまうような事も有ります。

常同行動

常道行動とは同じ行動を繰り返して行うことを言います。『手をひらひらさせる』『体を揺らす』『手を叩く』『同じ場所を行ったり来たりする』『跳びはねる』などが多く見られる常同行動です。常同行動を行う理由には、刺激を得る、好きな動作で落ち着きを得ているなどが考えられます。

常同行動は人目に付く場所で行うと、目立ってしまったりする事も有ります。しかし、その行動を行うことで本人が落ち着きを得て安定しているとも考える事も出来、一概に問題行動であるとも言い切れません。

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自閉症の常同行動とは | 発達障害-自閉症.net

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動けなくなる

自閉症などの発達障害の子供は、様々な理由でその場から動けなくなってしまうことがあります。主な理由には『不安を感じた』『対処が出来ずパニックになった』『気持ちの切り替えが出来ない』『カタトニアと呼ばれる緊張病がある』などです。

また、小さい子供と同じように駄々をこねて、寝転んだり座り込んでしまう事も有ります。

感覚過敏や感覚鈍麻

発達障害の人には感覚が過敏で有ったり、逆に感覚が鈍い「感覚鈍麻」であることが有ります。

感覚が過敏であると「食べ物を食べられない」「物が触れない」「暑さ寒さに鈍い」「痛みを感じやすい」「音・光・臭などを極端に嫌がる」などが見られ、それが原因で不安を感じたりパニックになったりする事があります。

感覚が鈍いと、「痛みを感じない」「暑さや寒さがわからない」などが見られ、危険な場合などの回避が遅れてしまうことが有ります。

偏食

偏食とはきまった物だけを食べたり、好きなものだけを食べたりと食べ物が偏ってしまう状態です。食べ物も多少の偏食なら問題がありませんが、体調を崩したり、栄養が足りない場合などには医師や専門家に見てもらう必要が有ります。

偏食を行うのは食べ物へのこだわり、口内の感覚過敏や感覚鈍麻、いつも食べているものなら食べることが出来るという安心感、食べなれない物への抵抗感などが有ります。

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自閉症や発達障害の偏食 食べ物へのこだわりと好き嫌いが多い | 発達障害-自閉症.net

過食

過食とは極端に物を食べ過ぎてしまう行動です。
自閉症の子供が過食をする場合にはストレス、食べたいという要求を抑えることが出来ない、場合によってはホルモンの異常や、満腹中枢の感覚が鈍いという事も有ります。

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自閉症や発達障害の子供が太ったり肥満になる理由 | 発達障害-自閉症.net

異食

異食とは通常の食べ物や飲み物以外のものを食べてしまうことです。
よくある異食には、石鹸、消しゴム、粘土、土、髪の毛、紙、小物などが見られます。
一般的な異食の原因にはストレス、貧血、栄養不足などがありますが、自閉症などの場合単純に食べられるものだと思い込んでいる場合や、噛んだり口にしたりしたときの感覚が好きだから異食をしている場合も考えられます。

口に物を入れる

自閉症に限らず小さな子供は様々なものを口に物を入れることが有ります。これは、小さい子供は目や触覚などの感覚が乏しい為、感覚が敏感な唇・舌・口内で物を確かめているという理由が有ります。

自閉症の子供はこのように手などの感覚が極端に敏感であったり、逆に鈍感である事も多いため、口に入れて感覚を確認したり、感覚を楽しんでいるという事が考えられます。

多動性

多動性の症状を持っていると、じっとしているのが難しく、すぐに動き出してしまうことが有ります。また、あちこち走り回る、高いところへ登る、飛び降りる、おしゃべりが止まらないなどの特徴も見られます。

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自閉症と多動 – 自閉症と発達障害の特徴・特性 | 発達障害-自閉症.net

自慰行為

健常の子供と同様に、発達障害の子供でも性欲は有るため、自慰行為や性器いじりなどが見られる事が有ります。主な行動には「人前でもパンツに手を入れて触ってしまう」「壁や机の角に股間をこすりつける」「うつぶせに寝転んで腰を動かす」等が有ります。

食欲・睡眠欲・性欲は人間の3大欲求とも言われているので、止めさせることは無理といっても過言ではありません。一般的な対処法は、人目につかない自室やトイレなど、自慰行為や性器いじりを行ってよい場所と駄目な場所をしっかりと教える方法になります。

奇声や大きな声

発達障害や知的障害を持つ人の中には奇声や大きな声を出す人もいます。大きな声を出す理由としては、ストレスや不安、パニック、遊びの一環、コミュニケーションを取るためなどが有ります。

独り言

上記の奇声や大声と同様に、ぶつぶつと独り言をいう事も有ります。独り言は気持ちの整理をしたり、気に入った言葉やフレーズを話すことが多くあります。また、他人からよく聞かされる言葉などを繰り返して話す事も有ります。

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自閉症スペクトラムや発達障害と独り言 | 発達障害-自閉症.net

唾吐きや唾遊び

唾吐きや唾遊びもよく見られる行動で、道端に唾を吐いたり、人に唾を吐きかけたり、ガラスやテーブルになびって遊ぶ事も見られます。また、嚥下機能の上手に働かない場合に唾が飲み込めず、吐き出してしまったり口から出てしまう事もあります。

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自閉症や発達障害児の唾吐きや唾遊び | 発達障害-自閉症.net

そのほかの問題行動

あまり多くは有りませんがその他に見られる問題行動には「天邪鬼」「嘔吐」「苦手なことから逃げ出す」「一人笑い」「便いじり」「失禁」などが有ります。

奈良大学の論文「自閉症児の問題行動への教育的アプローチ」で1994年に高等部の生徒の保護者を対象にした問題行動のアンケートによると、次の項目が問題行動としてあげられています。

「日課の繰り返し」「独り笑い・独語」「手の常同的しぐさ」「置き場所へのこだわり」「飛びはね・つま先立ち」「しかめっつら」「性器いじり」「自傷行為」「他傷行為」「寡動」「特定の人の好き嫌い」「視線があわない」「気分の変動」「視点定まらない」「多動」「マーク数字への固執」「性的行動」「チック症状」「においかぎ」「幻聴・妄想」。

問題行動への対応

自閉症の子供は行動がパターン化することが多いため、問題行動の予兆なども掴みやすい事も有ります。問題行動を起こす予兆が見られた場合には、それを回避し問題とならない行動へ誘導してあげる事も効果的です。

絶対にやってはいけない行動に対しては強く注意し、強い意思でその行動に対して認めないようにする必要も有ります。一度許されてしまうと、問題行動を起こしても謝れば許してもらえると思い込み間違った理解をしてしまう事も有ります。

問題行動への対処法

問題行動の対処法はその状況や子供によって様々ですが、先ずはなぜその行動を行っているのかを突き止める必要が有ります。理由を突き止めれば、対処方法や代替方法も検討することが出来ます。

問題行動を起こした場合に、どの様な状態で行動を起こし、どの様に経過していくかなどをメモしておくと状況が整理でき理由の判明に繋がりやすくなります。

主な対処法には、予め問題行動が起こらない状況を作る、場所や環境を整える、別の方法を行うなどが有ります。どうしても収まらない場合には、医師などに相談して気持ちを落ち着かせる薬などを使用すると問題行動が少なくなくなる事も有ります。

まとめ

自閉症や発達障害の人には様々なこだわりや癖があり、その行動が極端になり日常生活に影響がでると問題行動となってしまいます。問題行動も人によりそれぞれで、このページ以外に記載された事も多く見られると思います。

問題行動は何らかのメッセージでも有ります。周囲から見たら問題の有る行動として見られるが、本人からしたら必要とする行動の場合も有る為、問題行動が見られた場合には本人の様子や気持ちを理解してあげる事が重要になります。

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