自閉症や発達障害の姿勢保持と姿勢の悪さ

 

自閉症や発達障害の姿勢保持と姿勢の悪さ

自閉症や発達障害の人は正しい姿勢で椅子に座ったりするのが難しい事が有ります。
「落ち着きが無い様子でソワソワと動く」「椅子を前後に揺らす」「猫背」「すぐに頬杖をつく」「体が傾いている」などです。また立っている時でも「背中が曲がっている」「肩の位置が左右違う」「体が傾いている」などが見られます。

姿勢が正しくないと見栄えが悪いだけでなく、相手からやる気がなく気力だと見られてしまったり、視力の低下、体への癖、腰を痛めたり、背骨なども曲がってしまう事が有ります。

悪い姿勢を正しくしない場合には年を追う毎に姿勢の悪さが顕著となり、慢性的な筋肉の緊張などから歪が大きくなるほか、運動機能、神経機能、内臓器官への圧迫も見られ、場合によってはそれらの原因により発達が妨げられたり、病気に対する抵抗力が衰えてしまいます。

姿勢の悪い発達障害児の数とその項目

自閉症児や発達障害児の姿勢に関する具体的な数字は近年では調べられていないようですが、1991年の研究『障害児の姿勢に関する研究』では精神薄弱養護学校小学部(現在の特別支援学校)の児童48名中97.9%における児童に、何らかの歪や不適切な姿勢が見られると報告されています。

不適切な座位姿勢には「あごが突き出ている」「背中が丸まっている」「股関節が硬い」「側弯が見られる」「重心が左右どちらかに傾いている」、立位姿勢には「あごが突き出ている」「肩や胸部が前かがみ」「腰が反っている」「ひざが曲がっている」「ひざが反り返っている(反張)」「上体が前倒し」「重心が左右どちらかに傾いている」「力んで立っている」「静止した立位が難しい」という項目が見られています。

自閉症や発達障害の人の姿勢が悪い理由

自閉症や発達障害の人の姿勢が悪くなってしまう理由には様々な原因があると考えられます。その中でも代表的なことを調べてまとめてみました。


筋肉の低緊張や筋力の弱さ

自閉症の子供は身体面の発達が遅れていたり、生まれつき筋力が少ないことが有ります。そのために、筋力が弱いことから姿勢を保持することが難しかったり、体の筋肉の使い方が上手くいかず、必要の無い部分に力が入ってしまったり逆に使う筋肉に力を入れることが難しいことが有ります。

筋力が弱いと椅子に座るのが苦手で、直ぐに床に座ったり、寝転んだりすることが有ります。筋力が弱い子は体を触ってみると柔らかかったり、全体的にフニャフニャしている事が多いです。

また、自閉症の人は言葉を発する事が無かったり、言葉を発しても機会が少ないという事が多いです。そのため、会話をする際の腹筋や背筋を使用しないことも筋力が弱い原因の一つになります。

また発達障害だけでなく、何らかの病気により筋力に異常が見られるミオパチー(筋肉の疾患の総称)の場合も有ります。

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自閉症や発達障害は疲れやすい | 発達障害-自閉症.net

筋肉が緊張している場合

上記の「筋肉の低緊張や筋力の弱さ」とは全く逆になりますが、何らかの理由で筋肉が緊張している場合も姿勢が悪くなってしまいます。

自閉症の人に比較的良くある筋肉が緊張している例だと「つま先立ちで歩いている」場合などです。つま先立ちは「感覚過敏」「常道行動」「刺激を得る為」などで行っている場合が有りますが、常につま先立ちで歩いていると脹脛(ふくらはぎ)や太股の筋肉が緊張してしまいます。

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自閉症はつま先立ちやつま先歩きをする | 発達障害-自閉症.net

発達性協調運動障害である

姿勢を保持するには複数の体の筋肉を無意識のうちに使用しています。このように複数の部位を同時に使う事を協調運動と言います。協調運動には「走りながらボールを投げる」「腕を回しながら縄を飛ぶ(なわとび)」等が有ります。

発達障害の人にはこのような同時に様々な体の部分を使うのが難しい『発達性協調運動障害』という障害を持っている人も居ます。また、体を動かす以外にも、自分の体の位置や感覚が掴みにくいという『感覚統合障害』だという場合も有ります。

発達性協調運動障害だと姿勢の保持も難しいだけでなく、様々な運動面や行動面においても不器用など動きに影響が見られます。

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発達性協調運動障害とは | 発達障害-自閉症.net

姿勢のコントロールが苦手

姿勢のコントロールが苦手な場合は特に重心を安定させることが難しい事が多く、つま先やかかとに重心を加えて姿勢を安定させようとする事が有ります。そのため姿勢が前傾姿勢や反り返ったような背中になっていたり、足の筋肉などが常に力が入って緊張したような状況になってしまいます。

椅子の感覚が苦手

自閉症や発達障害の人は感覚が非常に敏感になる『感覚過敏』や、感覚が鈍くなる『感覚鈍麻』という特徴を持っている事が有ります。

感覚が過敏になると、椅子のすわり心地、椅子の硬さや柔らかさ、背もたれや肘掛などの感覚が嫌で、それを避ける為に変な格好で座ったり、姿勢が悪くなってしまうことが有ります。

常同行動

自閉症の人が、前後に揺れたりと一定の動きを繰り返している場合は『常同行動』を取っている場合が有ります。

常同行動とは体を揺らしたり、手をひらひらと動かしたり、同じ動きを何度も繰り返すことです。常同行動を行う原因は「リラックスしている」「刺激を得ている」「気持ちを落ち着かせる為」など様々です。

多動性

注意欠陥・多動性障害(ADHD)など、多動性の症状を持っている場合は、一箇所に落ち着いているのが難しくなってしまい、椅子などに長時間座っているのも苦痛を感じます。

多動性が強いと、椅子に座っていても体をソワソワと動かしたり、急に立ち上がって歩き回ったり走り出したりしてしまうことが有ります。

その他の原因

上記に記載した理由以外にも「音や声がうるさい」「光がまぶしい」「苦手や嫌いな授業である」などの理由で集中が出来ず、正しく椅子に座ったり姿勢を保持することが難しい場合も有ります。

正しい姿勢保持への対処方法

姿勢を良くする方法にはどのような事があるでしょうか?
具体的な方法は一人一人の特徴や体のゆがみなどで違いますが、代表的な運動方法やアイデアや矯正用具などについて紹介します。

筋力のアップ

筋肉の量が少なかったり、緊張が弱い場合には筋力トレーニングや体幹運動が効果的です。
家庭でも行いやすいトレーニングには『バランスボール』『トランポリン』や、最近流行の体幹トレーニングなども効果が有ります。また、単純な腹筋運動や背筋運動を行うだけでも違います。

かかりつけの医者や作業療法士や理学療法士がいる場合には相談すると、どの筋肉が不足していて、どのようなトレーニングが効果的か教えてくれると思います。

適切な大きさの椅子に座る

椅子のサイズが体に合っていないと、姿勢を保持するのが難しくなってしまいます。椅子が大きすぎないか、小さすぎないかを確認するのも必要です。

特に椅子が大きく足が床に届かないと、体重を支えるのが難しくなってしまいます。足が床に届いていない場合には低い椅子に取り替えたり、足置きの台などを用意する必要が有ります。

座面も正しく背中についているか、背中の角度に合っているかの確認も必要です。正しくあっていない場合にはクッションなどを座面との間に入れると良いです。

木やプラスチックの椅子などだと、座面が滑ってしまい正しい姿勢で座れない事もあるので、材質などにも注意をしたり、座面にクッションを敷くなどの必要も有ります。

姿勢保持グッズの利用

姿勢を保持する為にグッズや道具も多くのものが販売されています。

ピントキッズ

子供用の姿勢保持の補助クッションとして有名なものにピントキッズがあります。

これは作業療法士が考案した座位保持用のクッションで、肋骨、腰、お尻、足の部位を正しい位置で支えるサポートをします。

【ピントキッズ】子供の姿勢を考えたクッション 座布団

バランスボールチェアチェア

体幹を鍛えるのによく利用されるツールにバランスボールが有ります。
姿勢の補助用のツールではありませんが、不安定なバランスボールに座ることで体のバランスや筋力を鍛える効果が有ります。
通常のバランスボールチェアはボールだけ取り外しが出来、バランスボール単体としても利用することが出来ます。

そのほかの姿勢補助用品

そのほかの姿勢の補助用品としては「骨盤クッション」「椅子用のマットやクッション」「猫背の矯正用ベルト」などが有ります。

まとめ

姿勢が悪いと筋肉や関節を悪くするだけでなく、体に癖が付いたり曲がってしまい、場合によっては身体機能への影響など二次障害へと繋がってしまいます。また、見栄えや他人からの印象なども悪くなってしまいます。

姿勢が悪い理由には様々な原因が有ります。先ずは、原因を見極めて運動などの筋力アップや、姿勢保持の補助用具の使用などで、適切な対応方法を取る必要が有ります。

急に姿勢を正しくするのは難しいと思いますが、姿勢正しくする時間を設けたり練習などを行うと徐々に良くなっていくでしょう。

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