自閉症や発達障害児の唾吐きや唾遊び

   2018/03/22

自閉症や発達障害児の唾吐きや唾遊び

自閉症の子供や発達障害の子供は、唾を吐いたり、唾で遊ぶ行為をする事が見られる場合が有ります。

唾で遊んだり唾を吐く行為は、見た目が良くないばかりか周囲人から汚いと思われ、お友達などから嫌われてしまう恐れが有ります。また、手や服などが汚れたり、臭いが付いて衛生面からも好ましい行為ではありません。

では、なぜ唾吐きや唾遊びを行うのでしょうか。今までに経験したことから唾を吐いたり遊んだりする理由とその対処方法を考えてまとめてみました。

なお、唾を吐いたり唾で遊ぶからといって、その子が障害を持っているわけではありません。年齢の小さい子供なら唾で遊んでしまうことはよく見られる行動です。逆に、唾などで遊ばない発達障害の子供も多くいます。

唾吐きや唾遊びを行う理由

自閉症や発達障害の子供が唾吐きや唾遊びを行う主な理由を調べてまとめてみました。

ストレス

ストレスを感じたり溜め込んでしまうと唾を吐く行為を行う場合が有ります。
ストレスを感じている場合には、唾を吐く以外にも、「怒る」「泣き叫ぶ」「他人や物にあたる」など色々な行動が見られると思います。

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自閉症や発達障害者がストレスを感じイライラする理由と原因 | 発達障害-自閉症.net

他人から指摘されるのが楽しいため

唾を吐く行為に限らず自閉症などの子供は、他人から指摘や注意を受けることを楽しんでしまう事が有ります。これは自閉症の特徴として、正しいコミュニケーションを取るのが難しいということが考えられます。

唾を吐いた際に怒られたり注意を受けると『相手が反応してくれた』と思い込んで、唾吐きと言う行動自体がコミュニケーション手段となってしまうことが有ります。

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他人の気を引こうとして

お父さんやお母さん、先生や友達など、周囲の人の気を引こうとして唾を吐く事も有ります。これは上記の『他人から指摘されるのが楽しいため』と同様ですが、正しいコミュニケーションを取る方法が分からなかったりするために唾を吐いてしまいます。

この場合は人の顔や体などに対し唾を吐きかける事も多く見られます。一般的に他人に唾を吐きかける行為は『相手に対し強い嫌悪感』を抱いたり『侮辱する』行動ですが、自閉症の子供で相手が嫌いだから唾を吐きかけるという行動を取る子は殆ど見られず、大抵は唾を吐きかけた相手の反応を見たり、相手からの反応を得たいという事が多いです。

刺激を得ようとして

発達障害の子供は外部から受ける刺激が少ない為、刺激を得ようとして様々な行動を取る事が有ります。特に口は感覚が過敏な為、『指しゃぶり』『服の袖噛み』『口に物を入れる』『口内で唾をためて遊ぶ』などの行動を取る場合があり、その一環として唾吐きを行っている可能性も有ります。

口で刺激を得ている場合には、ガムやキャンディーを利用したり、口へ刺激を与えるグッズなどもあるので利用してみる方法も有ります。

口内嚥下(えんげ)機能が未熟な為

嚥下とは食べ物や飲み物を飲み込む行為を言います。自閉症などの子供は嚥下機能が未熟であるため唾を飲み込むことが出来ず、口に溜まった唾を吐いてしまう事も有ります。
また、口や唇の筋肉が弱く、閉じることができない為に唾を垂らしてしまう場合も有ります。

特に言葉を持たない子供の場合は、会話により口を動かす機会が無いので口の筋肉が弱く、口が開いていたり上手に閉じることが出来ない為に、よだれが垂れてしまうことが多い傾向に有ります。

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障害児や障害者がよだれや唾を垂らす理由と対策・対応 | 発達障害-自閉症.net

遊びの一環として

唾を吐いたり唾を垂らしたりする行動を遊びとして行っている場合も有ります。唾遊びには『唾を垂らす』『唾を吐く』『唾を口にためる』『唾を床や壁やガラスなどに塗りたくる』『指先で遊ぶ』『おもちゃにつける』『服やハンカチなどを湿らせる』など子供に様々です。

唾で遊ぶのは、自閉症の子は水が好きだという傾向が強いこと、口の中の刺激を楽しんでいる、指先などで感覚を味わっているなどが考えられます。

特に手持ちぶさたや暇になってしまうと、唾などで遊んでしまうことが多くなります。

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自閉症は水が好き | 発達障害-自閉症.net

唾吐きを止めさせる方法

唾吐きを止めさせたい場合には唾を吐いている理由を特定することが必要です。唾を吐いた時だけでなく、その前に起こったことや気持ちの変化なども感じ取ってあげなくてはなりません。

場合によっては唾吐きがやっては行けない事だと思っていない場合もあるので、状況にもよりますが唾を吐く行為が『やっては行けない事』『相手から嫌がられる事』などの説明も必要になります。

なお、唾吐きを必要以上に指摘すると、そのこと自体が新たなストレスになるので注意が必要です。

唾吐きをコミュニケーションとしている場合

他人から指摘されるのを楽しんでいたり、他人の気を引こうとするなど、唾吐きをコミュニケーション手段としている場合は、唾を吐くこと以外の方法を教えてあげる必要が有ります。言葉を喋ることが出来るなら言葉での意思表示、言葉を喋るのが難しい場合には『相手の肩を叩く』『相手の手を引っ張る』などの方法も有ります。

また、唾を吐いた際に反応してしまうと、間違ったコミュニケーション方法を続けてしまうので、唾を吐いても無視したり無反応でいる必要も有ります。

ストレスを感じている場合

何らかのストレスを感じている場合にはストレスの原因を取り除く必要が有ります。ストレスにも「叱られたり注意を受けた」「何かを禁止された」「嫌な物事が有った」「嫌いな音や臭いや光を感じた」「意にそぐわない行為があった」「対人関係」「普段と違う状況に遭遇した」など様々です。

ストレスは直近のことだけでなく、過去のことを引きずっている可能性もあるので、心当たりのあるストレスの原因を考えたり、場合によっては学校や利用しているサービスの担当者にも確認してみる必要が有ります。

刺激を得たい場合

何らかの感覚や刺激を得る為に唾吐きを行っている場合には、代替となる方法を考えます。
方法にはマッサージを行う、噛むことの出来るシリコンのツール、振動を与えるバイブレーターなどを利用するなども効果的です。

口内や唇などのマッサージは刺激を得るだけではなく、口周りの筋肉のトレーニングにもなるので、口などの筋肉が弱い場合には有効です。

遊びで行っている場合

遊びで唾吐きを行っている場合も、それに代って楽しめる遊びなどを与えることが必要です。

水などが好きで唾を吐いている場合には水を使った遊びを行ったり、塗れたタオルやハンカチを与える、水の入った霧吹きやペットボトルなどを用意し必要の際に唾の代りとして使うなどの方法が有ります。

唾の感覚が好きで指などに垂らして遊んでしまう場合には、粘土やスライム、粘着性のあるテープやシールなども代用品として使えます。

まとめ

自閉症などの発達障害の子供が唾を吐いたり唾を垂らしてしまうのにも様々な理由が有ります。その為、必要以上に唾を吐いてしまう場合にはその原因を特定し、正しい対処方法をとる事が重要になります。

唾吐きも一時的には問題行動と思えるほど多く見られる事も有りますが、身体的な機能の問題以外の場合は大抵は時間がたつと見られなくなったり、別の行動に置き換わることが殆どです。

唾吐きが見られたら、本人と同意を得ながら無理の無いように指導していくことが必要になります。

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